ビューティ
連載 沖縄ビューティNEWS 第5回

色鮮やかなビジュアルと美容効果に注文殺到! 沖縄県産“ロースイーツ”

“ロースイーツ”とは、RAW(生の)SWEET(スイーツ)の意味で、文字通り、非加熱(48度以下)で作るスイーツのこと。基本となる素材は旬のフルーツやナッツ類で、加熱をしないことから酵素やビタミン、ファイトケミカルなど栄養素をそのまま摂取できるのが特長。

加えて、白砂糖やバター、小麦粉をアガベシロップやココナッツオイルで代用するため、インナービューティにも貢献するスイーツとして、現在その市場を拡大している。

年間を通じて温暖な気候の沖縄では多彩なフルーツを活用した、見た目にも鮮やかなロースイーツを作れることもあり、SNS映えなどをきっかけに“沖縄県産ロースイーツ”が全国から衆目を集めている。

ビーガンケーキがより彩り華やかに進化

その立役者といえるのが、沖縄市で「ロースイーツ カフェ アボンダンス(RAW SWEETS CAFE ABONDANCE)」を主宰する宮城知美さん。

旅行で訪れた沖縄の街並みや雰囲気に惹かれて、2007年に埼玉県から移住。その後、県内の飲食店で接客を担当する傍ら、農業に興味があったことから、北部・今帰仁村の農園で援農ボランティアを勤しんでいるうちに、その仲間とともにビーガンに特化したフードサービスをスタート。それがきっかけになり、ロースイーツを勉強しはじめた、という。

「当時、ビーガンケーキといえば風味も見た目も素朴なイメージだったのですが、私は以前から食事や果物には“色気”が宿ると考えていたことから、ビーガンケーキのイメージを変えたいと思っていました。しかも、沖縄にはマンゴーやパイン、ドラゴンフルーツなど、色鮮やかなフルーツが豊富なこともあり、ヘルシーでありながら“セクシー”さがあるスイーツを作れるはず、と思い、14年に『イロケイクス(IROCAKES)』というケーキブランドを立ち上げました」。

「イロケイクス」ではオンライン販売を行っているほか、週に1度はローフードやロースイーツづくりのワークショップを開催している。

「参加してくださる人は地元の人から旅行者までさまざまですが、中には毎月県外からいらっしゃるかたも。私たちはロースイーツをヴィーガンというより、ヘルシーなライフスタイルの一部として提案していることもあり、菜食主義のかただけではなく、幅広い層からご支持をいただいています」。

東京では、ともすれば“意識高い系のスイーツ”として特別な存在に置かれがちだが、沖縄では「“ショートケーキ”を選ぶようにロースイーツを楽しんでほしい」と宮城さんは話す。

21年に沖縄市にオープンしたカフェ、「ロースイーツカフェ アボンダンス」も、より多くの人に、“健康にいい”だけではない、ロースイーツの新しい世界観を味わってもらうことが目的。

「ロースイーツはヘルシーなのはもちろんですが、それよりも先に、果物にある色気やカフェの時間を心から堪能していただきたいと思っています。私たちのカフェのインテリアもあえてナチュラルさだけではなく、欧州やアジアから取り寄せたビンテージ家具や雑貨を配していますが、このような“色”のある世界観を通じてロースイーツの概念を変えていければと考えています」。

“ウエルネススイーツとして”、リゾートホテルでワークショップも

オンライン販売やホテルでのワークショップを開催しているのは、読谷村在住で「レテ ロースイーツ(LETE RAW SWEETS)」を主宰する湧田路香さん。

東京都出身の湧田さんは一時期、カナダに移住していた際にローフードを知ったのが、ロースイーツに出合ったきっかけ。それから日本に帰国した後、ご主人の故郷である沖縄に移住。家族の健康のために、と作り始めたローフードやロースイーツが、友人や知人の間で評判になり、19年からロースイーツをオンライン販売することに。

「オンライン販売では、県外のかたからのオーダーが非常に多いですね。県産のフルーツを用いたロースイーツは見た目が華やかなこともあり、バースデーや結婚記念日、プロポーズなど、大切な記念日のケーキとしてご好評いただいています」。

また、読谷村に位置するリゾートホテル「グランディスタイル 沖縄 読谷 ホテル&リゾート」では22年から不定期でワークショップを開いている。

「先方から『ウエルネスプログラムの一環として、体にいいスイーツの紹介をしたい』というお話をいただいたことがきっかけでした。ローケーキはフルーツの芳醇な香りも魅力ですし、しかも沖縄では強い日差しのもとに育った色彩豊かなフルーツが多く、美味しさも風味も濃厚。もちろん、非加熱なのでフルーツの酵素も豊富に摂ることができます」と話す。

「レテ ロースイーツ」のローケーキはフルーツをたくさん詰め込んだクリームでデコレーションするのが特徴。「果実本来の色と香りを楽しめる、とお客さまにご好評いただいています」(湧田さん)。

“インナービューティー”をかなえるスイーツとして沖縄から全国へ

ロースイーツは栄養価が高い一方で、白砂糖や小麦粉、乳製品を使わないためカロリーや糖質が低く、ダイエットや糖質制限中でも罪悪感なく食べられるので、言うなれば、‘食べたほうが健康になれるスイーツ“。しかも、主原料がナッツであることや、風味がクリーミィなので想像以上に食べ応えがあるのが魅力。エイジングケアにも寄与するフルーツとして、沖縄から全国へとその美味しさはさらに広がりをみせるはずだ。

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