「ユニクロ(UNIQLO)」はこのほど、ドイツのベルリンで冬のインナーの定番、ヒートテックの誕生20周年を記念したイベントを開催した。イベント当日は、11月とは思えないほど気温が低く雨模様だったが、プレス関係者やインフルエンサーを含む多くのゲストが来場した。
広々した会場には、LEDライトを搭載した巨大パネルを配置。年代別に設置した各パネルには、当時のヒートテックの素材や特徴を記し、サンプルもディスプレイした。ヒートテックは何度も改良と改善を繰り返し、市場も徐々に拡大。グローバル化した経緯を知る貴重な機会となった。
パネルトークでは、ユニクロヨーロッパ・ウィメンズウェアのマーチャンダイジング責任者アレナ・ストレイコワ(Alena Strejckova)と東レインターナショナルの鈴木琢也ゼネラルマネージャー、そして、ベルリンの人気コンセプトショップ「ヴー ストア(Voo Store)」のオザーン・アッケイ(Ozan Akcay)ゼネラルマネージャーが登壇。ヒートテックの需要の高さや認知度、東レとの共同開発、新商品などについて話し合った。
ヒートテックの累計販売枚数は、世界規模でなんと約15億枚にものぼるとのこと。冬の定番インナーとしてヨーロッパはもちろんのこと、世界規模でここまでの売上枚数に達した理由は一体なんなのだろうか。
「ヴー ストア」のアッケイ・ゼネラルマネージャーは、「軽くて暖かくて着心地の良いヒートテックはオシャレの邪魔をせず、冬のインナーとして欠かせないアイテム」になっていると述べた。ストレイコワ責任者が述べていたように、「『こういったアイテムが欲しい』という消費者からの意見を収集し、グローバルで共有しながら商品開発に役立てていることも大きな理由のひとつ」だろう。また、東レの鈴木ゼネラルマネージャーは、「これまでテクノロジーに尽力してきたが、今後はリサイクル素材など地球環境を考慮したものづくりを強化したい。たとえインナーであっても、時代や気候や人に合わせたイノベーションが必要」と述べた。
環境先進国と呼ばれるドイツにおいて、サステナビリティーは世界中が意識するようになる前からライフスタイルの一部だ。そんなドイツの首都ベルリンだけですでに6店舗を手掛ける「ユニクロ」は、シンプルで長く着られるデザインや品質を好む傾向にあるドイツ人の気質、そしてサステナビリティーにおいてフィットしているのかもしれない。
「ユニクロ」は2006年に東レと戦略パートナーシップを結んで、身体から出る水蒸気を熱に換えるテクノロジーを生み出し、薄くて暖かい機能性を持つ特殊生地の開発に成功。こうしてヒートテックは誕生した。東レとユニクロが共同開発した画期的な特殊生地とは、レーヨン、アクリル、ポリウレタン、ポリエステルの4つの合成繊維から作られており、それらを複雑な構造で編み込むことによって、それぞれの特性を引き出し、複合的な快適機能を実現させているという。例えば、マイクロアクリルとレーヨンを紡ぎ合わせると、吸湿発熱と保温機能を兼ね備えた一本の糸が出来上がり、ヒートテックで最も重要視される保温機能が実現するという。