サステナビリティ

キャンドル「アーメン」に見るサステナブル パラフィン不使用で包装はキノコ菌糸由来

フランス発のホームフレグランスブランド「アーメン(AMEN)」は、キャンドルを通じて自身が考えるサステナブルを体現している。パラフィン不使用のベジタブル・オイル・ワックスを原料に、パッケージにはキノコの菌糸由来の素材を採用。デザイナーのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)も愛用するこのキャンドルの香りについて、創業者のロドリゴ・ガルシア・アルバレス(Rodrigo Garcia Alvarez)は「何千年もの歴史があるアロマテラピーの原則に従って選んだ」と話す。

ジャスミンなど“チャクラを整える”7つの香り

ウルグアイ生まれのロドリゴが「アーメン」を立ち上げたのは2020年、パンデミックの最中だった。デビューコレクションは、世界中の主要なヨガスタジオやグルが指導を受けながら「7つのチャクラを整え、心・体・魂のバランスを整える」7つの香りを選択。香りの都、南フランスのグラースで調香し、原料にはパラフィン不使用のベジタブル・オイル・ワックスを使用して手作業で製作した。

再利用可能な陶器製の容器を包むのは、米国のエコヴァティブ(ECOVATIVE)が開発したマッシュルームの菌糸体を原料にしたパッケージだ。このパッケージは適切な条件下であれば45日で生分解するという。デビューコレクションは、パリのドーバー・ストリート・パルファン・マーケット、NYのバーグドルフ・グッドマン、ロンドンのセルフリッジが販売した。

マッシュルームの菌糸体由来のパッケージを選んだ理由をロドリゴは次のように話している。「プラスチック問題は100%経済学的なものであり、だからこそ私たちはこの問題を解決して、次の世代までにプラスチックのない世界を実現することができると思う。プラスチックが発明された当時は、それはとても高価なものだったが、コスト改善で非常に安価になり、今ではプラスチックに触れないで一日中生活することは不可能だ。新興ブランドとしてこの容器の採用は、ハードルが高い決断だったが、燃焼時間50時間のキャンドルのために、分解に500年もかかるプラスチックを選ぶことはできなかった」。

「ステラ マッカートニー」の“サステナブル・マーケット”にも登場

ロドリゴは今年、2回来日している。1回目は4月に阪急うめだ本店8階にオープンした「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」による世界初のカフェ併設型コンセプトストア「ステラズ ワールド バイ ステラ マッカートニー(STELLA’S WORLD by Stella McCartney)」のオープン時。“ステラがセレクトした”スーベニアアイテムの一つとして「アーメン」が並び、店頭で説明にあたった。「ステラ マッカトニー」は2024年春夏コレクションのショー会場でも、21のキー素材や技術を紹介する”ステラのサステナブル・マーケット”の中で「アーメン」を紹介している。

またロドリゴは、10月28日にはドーバー ストリート マーケット ギンザ(以下、DSMG)が開催した1日限定イベント「オープンハウス」のために来日し、彫刻家カタリーナ・カミンスキー(Katharina Kaminski)とのコラボレーションをお披露目した。カタリーナの作品は、粘土で手作りした直径30cmの大きなキャンドルはアートピースとしての存在感がある。他の「アーメン」同様、グラースで植物性ワックスを手作業で注いであり、約1200時間点灯するという。

インターセックスの彫刻家とのコラボで光をデザイン

同じくウルグアイ生まれでパリ在住のアーティストであるカタリーナがデザインするのは器自体加えて、その中の“光の形”だ。火がなくなれば消えてしまう儚いその“形”は丸みを帯び、全てを包み込むような優しさがある。「子宮をイメージした」と聞いて納得する。カタリーナは、身体的な性が男性・女性の中間もしくはどちらとも一致しないインターセックスであり、私たちが“身体的なもの”として認識する規範に対して、作品を通じて疑問を投げかけているという。パートナーでもある2人のリビングルームと寝室には電気はないそうだ。「キャンドルの明かりのほうが会話もより素直になる気がする。火は太古の昔から人と人とのつながりの中心であり、キャンドルは火の要素を入れる容器」と考えている。

誰にでも人懐っこい笑顔で情熱的に話しかけるロドリゴは「各コレクションは単なる製品ではなく、ステートメントであり、会話のきっかけでもある」と語る。「プラスチックのない世界は可能であることを伝える菌糸体のパッケージであれ、インターセックスであることの認識を共有するカタリーナとのコラボであれ、どのコレクションも私たちの時代にふさわしく、同時に時代を超越している。私は、デザインやアートがパラダイムや考え方を変える力を持っていると信じている」。

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