百貨店やショッピングセンター(SC)が年末年始の営業を見直す事例が少しずつ増えている。丸井は2023年に実施した正月の三が日休業を24年も継続する。松屋銀座本店は元日に加えて2日を休業日にする。新宿ミロードは今年12月31日を休業日にした。年末年始の休みを増やすことで、従業員満足を高めるとともに、深刻化する人手不足に対応する。
丸井は23年の正月の元日・2日・3日の3日間、マルイとモディの大半の店舗を休んだ。百貨店やSCのほとんどは2日が初売りのため、三が日を休業日にして4日を初売りにする丸井の決断は異例だったが、テナント側からも好評だったことから24年も継続を決めた。同社はまず22年に正月の元日・2日の2日間を休業日にし、売り上げへの影響やテナントの反応を見定めた上で、三が日休業に移行している。従業員からは「(休みが1日しかなかった今までの)お正月はあっという間に過ぎるが、今年は家族と団らんする時間ができて、子供が喜んでいる」といった声が寄せられているという。
松屋の銀座本店は正月の元日・2日を休業し、初売りを3日に設定した。元日・2日の2日間を休業にするのは24年ぶりだ。同店は長らく10時〜20時だった営業時間を9月1日から11時〜20時に短縮している。
新宿ミロードは大晦日を休業にする。元日とあわせて2日間の休業になる。例年の大晦日は18時までの短縮営業だった。従業員のワークライフバランスを考慮し、商業施設としては珍しい大晦日休業に踏み切る。新宿ミロードが直結する新宿駅は、帰省先に向かう人たちで大晦日も混雑するが、「当館には生鮮3品や食品スーパーなど正月需要が高い店舗はなく、売り上げへの営業は軽微」(運営する小田急SCディベロップメント)という。
年末年始は小売業にとって稼ぎどきといわれてきたが、昨今は福袋の予約販売やセールの沈静化によって、かつてほど客が殺到する現象は少なくなっている。一方、販売員などの店頭スタッフの人手不足は深刻を増す。年末年始に休みがとれないことが、人手不足に拍車をかけている側面もあるため、休業日の増加を歓迎するテナントも増えている。