ファッション

ロッククライミングを初体験したインドア派記者 「アークテリクス」の原点、ハーネスに触れる 

精巧なデザインと機能性を融合したプロダクトが持ち味の「アークテリクス(ARC'TERYX)」。その歴史は、クライマーのデイブ・レーン(Dave Lane)とジェレミー・ガード(Jeremy Guard)がクライミングハーネスを作るために設立したことに始まります。

先日、そんなブランドのスピリッツを詰め込んだ、クライミングハーネスを体験できる機会があるとの知らせが。自然のままの岩に登ることができる、ロッククライミング体験イベントがメディア向けに開かれるというのです。そんなご縁で、ロッククライミングはもちろん、中学のバレーボール部を引退して以降、スポーツとの接点もなくなった記者福永が初めてのロッククライミングを体験しました。

「アークテリクス」のギアを装着
デザイン性がクライマーの背中を押す

ロッククライミングとは、手足を使って岩壁をよじ登るスポーツ。中でも今回、私が体験したのはフリークライミングと呼ばれるもので、道具を使わず自分の体とテクニックのみで登るスタイルを指します。

当日は、「アークテリクス」の製品を借りながら、ブランドが契約しているガイドさんのバックアップのもとでクライミングに挑戦しました。至れり尽くせりのサポートです。

集合場所は、緑豊かな神奈川県の湯河原駅。車で10分ほど行った幕山公園から、さらに山道を登ること10分。あまりにも“ナチュラル”な状態すぎる大きな岩の前、いわば小さな崖の下に到着しました。「これに登るの…?」と少し足がすくみましたが、先に来ていた隣のグループは、岩のわずかな膨らみを見つけては、スイスイと登っている。しかも中には70代前後と思われるご年配も…!ロッククライミングが、それほど長く楽しめるスポーツであることを初めて知りました。

とはいえ、運動不足のインドア派にいきなり大きな岩は……と思っていたら、まずは8mほどの小さな岩からスタートすることになり、ひと安心。

登る前に、ギアを装着していきます。早速、今回の主役である、「アークテリクス」のクライミングハーネスがお目見え。命綱となるロープを接続するので、その品質と着用の仕方が命にも関わる重要なパーツです。

「アークテリクス」のハーネスはメンズとウィメンズで、サイズは特に豊富なものだとXS〜XLをそろえています。ブランドのパンツは全て、ポケットがかなり下の位置についているのですが、これはハーネスに干渉しないためなのだそう。この日私が受け取ったのは、ライトグレーにネオンイエローが映えるもの。岩に手をかける以前に、そのビジュアルにテンションが上がります。

また、滑り止めに使うチョークにいつでも手が届くようにするための、チョークバッグも拝借。ウエストポーチの要領で着用するとお尻のあたりでポイントになってかわいい。シューズは「アークテリクス」製でないものの、つま先がかなり細くなっている特殊なフォームなのが印象でした。履いたときに指が曲がり、きつく感じるくらいがちょうど良いのだそう。

誰かの成功を拍手で称える
優しい文化にときめく

今回は、トップロープクライミングと呼ばれる、頂上からロープで釣られながら、岩の下でビレイヤーが安全確保のために長さを調整してくれるスタイルで登っていきます。重要なのは足で、「岩の窪みに対して垂直に刺すようにつま先を置く」とのこと。手は、捕まることができる凹凸を探しながら頂上を目指します。

私のデビュー戦は、“後先考えず、まず行動”な性格が生きて、手足の置き場に迷わずスイスイと登ることができました。ガイドさんが「お、これは経験者の風格!」とおだててくれたおかげで、あっという間に頂上に到着。この時、自分が小学校の運動会で毎年リレーの選手に選出されていたことや、バレーボール部ではエースポジションを任されていたことを走馬灯のように思い出し、なくしていた自信を取り戻しました。

降りる時は、背後に全体重を預けて垂直に足を置きながら降りていきます。これが結構こわい。ロープとハーネス、岩の下でロープを調整してくれるビレイヤーを信頼して体を預けないと、むしろ危険で、しっかりと後ろに倒れる必要があります。また、降りると言っても少しずつ岩壁を歩くようにするのではなく、数回に分けて大きく後ろにジャンプするように降りなくてはいけません。この時、信頼できるギアを選ぶことの大切さを改めて感じました。

無事に帰還すると、ガイドさんや一緒に体験していたメディア関係のみなさんが拍手で迎えてくれました。これはクライミング界のカルチャーで、誰かが完登した時や帰ってきた時は、拍手で称えるのだそう。温かなリアクションに、達成感もひとしおです。

進むも地獄、退くも地獄
ワイルドな闘争心が蘇る

その後、さらに高さのある大きな岩にも登ることに。来るまでに山道を10分登っているので、標高も高いのですが、登り進めるにつれてどんどん高さが増してきます。振り返ったら怯んでしまうと思い、目の前の岩壁だけを見つめて登ることに決めました。

そうこうしていると、足をかけられそうなところが見つからず、進むも地獄、退くも地獄の状態になってしまいました。高さもなかなかあるので、絶対後ろを振り返ってはいけない。「落ち着いて、周りを見てみて!」と、ガイドさんの頼もしい声が聞こえるも、全然落ち着けるはずがない。こうなると焦る一方です。

そんな私の真横を別グループの60〜70代くらいと思しき女性が楽々と登っていきます。岩の上でずっとひとりぼっちだったので心細く、誰かと話したくて「すごいですね」と声をかけると、女性は「頑張ってね」と優しく微笑み、あっという間に私を置いて行ってしまいました。“ああ、行ってしまった”と思うと同時に、“自分にもできるんだ”と心が奮い立ちます。

自分の腰くらいの高さにあったわずかな窪み。足を乗せられるはずがないと思っていましたが、ここしかないと、足を振り上げて一気に登ります。すると、シューズのつま先が細く作られているので、意外にもしっかりと足を置くことができました。下からガイドさんが「そう、そう!」と声をかけてくれます。ガイドさん、分かっていて私の自主性を尊重してくれていたのですね……。途方もなく時間がかかりましたが、無事に登り切ることができました。降りようとした時、「景色を見てみて」と声をかけられ、初めて振り返ると、絶景が一面に広がっていました。

ロッククライミング体験を通して、体を動かす喜びと、忘れていたワイルドな闘争心を再確認することができました。また、応援し合う文化があるおかげで、コミュニケーションが生まるのも大きな魅力だと思いました。次の日、筋肉痛に見舞われたのは言うまでもありませんが、また機会があれば挑戦したいです。次はいつになるかな……。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。