1.5足——スニーカー研究メディア「すにらぼ」が、10~60代の男女300人に聞いた革靴の所持数だ。
一方で、僕の所持数は50足。当然、玄関の靴箱には収まりきらず、自室を圧迫している。文字通り、靴に埋もれて寝ている状態で、妻子からは事あるごとに「捨てろ」と言われるが、のらりくらりやり過ごしている。
包まれるような天使の履き心地 「サンタリ」のムートンスリッポン
そんな“シューズホリック”で、なんなら革靴の山で“遭難”している僕が「とはいえ、これは手に入れなければ!」と2023年最後に購入したのが、舘篤史デザイナーが手掛けるシューズブランド「サンタリ(SANTARI)」のスリッポン“サボユキ”(4万9500円)だ。
最大の特徴はムートンを用いる点で、革靴は大好きだけど革靴に嫌われている=“ガラスの足(どんな靴を履いても痛い……)”を持つ僕にとっては「蜘蛛の糸」的な存在。つまり、“買わない”はあり得なかったわけで。
編集部や移動中の新幹線や飛行機ですぐに靴を脱ぎたい僕も、包まれるようなフィット感に大満足。芯材を最小限にしているため天地をフラットにして持ち運ぶことができ、「かかとを踏んで履いても良い」とのこと。
舘デザイナーは、「ムートンならではの心地良さは残しつつ、履いたときに内側の毛の部分が見えなくなるのがポイント。個人的に“私、今、ムートン靴を履いてます!”みたいなのが嫌で……」と話す。そんな作り手のアマノジャクさにも引かれた(笑)。
“シューズ難民”の記者が全幅の信頼を置く英国製ハンドメードスニーカー
23年の“革靴納め”もそこそこに、24年の“相棒”として早々に唾を付けたのが英国のハンドメードスニーカーブランド「ウォルシュ(WALSH)」の“PBウルトラエクストリーム”だ。
革靴に比べてスニーカーは10足と持っていない僕だけど、“ガラスの足”にシンデレラフィットしてくれ、まさに“困ったときの「ウォルシュ」”になっている。
本来はフェルランニング(オフロードの高地を走る競技)用のシューズで、過酷な環境下での着用を考慮した設計のため雨も弾いてくれて、雪国にある妻の実家に帰省中の今も“ピラミッドグリップ”(凹凸のあるソール)が安心の防滑性を発揮してくれている。
僕は16年に初めて購入して出張などでヘビロテしていたのだが、19年に輸入元のカメイ・プロアクト(東京、長谷部誠社長)が当該モデルの仕入れを中止……。それなりにくたびれた“PBウルトラエクストリーム”を酷使し過ぎないように、とはいえ全面的に頼りにしつつ履いていた。それが24年春夏シーズンに再入荷すると聞いて、即挙手した。
最新バージョンはインソールを低反発のものに変更して、さらに履き心地を向上させたそう。現地ボルトンの労働賃金が上がり、同時に円安が進行する中、販売価格は8年前から微増の3万800円とのことで“申し訳なさ”さえ感じてしまうが、カメイ・プロアクトの企業努力に感謝しつつ享受することにしたい。