西武池袋本店は10月30日、本館と北館を結ぶ通路を商業区画に変更した。オムニチャネルに対応した化粧品の新たな買い物体験を提供する売り場「コスメアネックス」を開設する他、免税カウンターや外国人客に向けた「ビジット イケセイ ショップ」などを設け、1日あたり36万人が通行する駅コンコースを利用する日本人客や外国人観光客を取り込んでいく。
今回の商業区画の変更は、「訪日外国人に役立つ情報発信、サービスを充実することで池袋の魅力を高めること、これまで接点が少なかった20代を中心とした働く女性へのタッチポイントを増やすこと、という2点の狙いがある」と持谷崇也・西武池袋本店 販売促進部部長。その象徴となる「コスメアネックス」は、19世紀のロンドン万博で建築された鉄骨とガラスで構成した建物「クリスタルパレス」から着想され、華美な装飾をせず「素の状態であること」を表現。売り場は統一環境を基本とする。取り扱いブランドは、駅コンコースを利用する20〜30代女性に関心が高い「ジョンマスターオーガニック」「THREE」「ファンケル」を集積。「スキンケアからボディー、ヘアケア、サプリメントなどを扱い、カウンセリングとセルフを融合した接客が可能なブランドをそろえた」と吉田昇そごう・西武 商品部 婦人雑貨部 チーフバイヤー。商品は、棚什器のオープンな陳列で、目的買いや時間のないお客にも分かりやすい仕様にし、利便性を高め"ショートタイムショッピング"ニーズにも対応する。
また、デジタルアートを中心に幅広い作品を手掛けるチームラボが監修する2種のデジタルサイネージを設置。「コスメアネックス」側の壁面には、ハーフミラーサイネージを展開。そごう・西武のECサイト「eデパート」で購入可能な92ブランド、1万品目の商品情報を表示。通行者の興味を引き、役立つ情報として天気予報や紫外線指数、血液型占いなども提供する。さらに、スマートフォン型デザインのタッチパネルも設置。「eデパート」の商品(15ブランド500品目)が検索でき、購入したい商品のQRコードを手持ちのスマホで読み取ることで注文ができる仕組みとした。10時までにタッチパネルで注文した商品は、当日17時以降にコンシェルジュカウンターで受け取ることが可能だ(配送も可)。これらにより、「化粧品の年間売り上げを昨年から20%高めたい」(持谷販売促進部部長)と期待を寄せる。
その他、外国人観光客に対応した「免税カウンター」を移設し、3席9人体制から5席15人体制に拡充。日本円引き出しに対応するセブン銀行ATMや「セブン‐イレブン」のマルチコピー機、携帯電話・タブレット充電サービスも実施。外国人客が必要とするサービスを1カ所に集約し利便性を高める。さらに、外国人観光客の買い回りデータを分析し、店内からセレクトした洋品小物やインテリア雑貨、菓子、酒などを扱う売り場「ビジット イケセイ ショップ」「eデパート」やタッチパネルで申し込んだ商品を手渡したり、国内外の旅行者に東京の魅力を紹介する東京シティガイド検定の有資格のコンシェルジュを配置したりする「コンシェルジュカウンター」なども設ける。