「この週末は、どこで過ごす?」と聞かれたら、「月」と答える―。そんな会話が当たり前になる世界は訪れるのだろうか?「月を行き来する世界」のファッションについて考えたのは、日本の宇宙航空の研究開発を担うJAXAの河添孝則・有人宇宙技術部門 きぼう利用センター主任研究開発員と、2019年に野口聡一宇宙飛行士が着用した宇宙服を作ったビームスの児玉正晃ウィメンズ部部長兼CSR担当。野口さんからのフィードバックで広がったイノベーションの可能性から、そんな革新を促すJAXAの思いまで、話が広がった。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月8日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
PROFILE: 左から河添孝則/国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)有人宇宙技術部門 きぼう利用センター主任研究開発員、児玉正晃/ビームス ウィメンズ部部長兼CSR担当
宇宙空間での着用で機能・情緒の双方でイノベーション続く
WWDJAPAN(以下、WWD):「月を行き来する世界」は、いつごろ訪れる?
河添孝則JAXA有人宇宙技術部門 きぼう利用センター主任研究開発員(以下、河添):ぜひ訪れてほしい世界。今は、NASAを中心にアルテミス計画が進行中で、2024年後半には4人の宇宙飛行士が月を周回予定。25年以降は、アポロ11号以来の月面有人着陸が計画されている。また、月周回有人拠点(ゲートウェイ)と呼ばれる月面および火星に向けた中継基地の建造が始まる。60年代に入ったら、みんなが月へ行く具体的なステップが見えてくるかもしれない。
WWD:そんな世界のファッションはどうなる?地上と宇宙の違いから、今はどんな機能が求められている?
河添:無重力環境のISS(International Space Stationの略。国際宇宙ステーションのこと)では、毎日運動をしなければ筋肉はすぐに衰える。運動すれば、汗が出る。でも水は貴重だから、洗濯は難しい。速乾や抗菌などの機能は重要だ。運動しても大きな筋肉は衰え、体はお尻や太ももから変化する。その対応も必要だろう。意外に重要なのは、靴下。無重力のISSでは、同じ場所にとどまり続けるためバーに足を引っ掛ける。だから靴下は肉厚な方が良いし、滑り止めは甲の側にもあると重宝する。
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