ロレアルグループ(L’OREAL GROUP、以下ロレアル)は1月9日(現地時間)、米ラスベガスで開催中の国際見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CONSUMER ELECTRONICS SHOW以下、CES)2024」で、スイスの環境スタートアップ企業ギオサ(GJOSA)の買収を発表した。未保有の株式を取得する契約を締結したが、取得金額など取引の詳細は明らかにされていない。ロレアルとギオサは15年から提携し、21年にロレアルがコーポレート・ベンチャーキャピタルファンドであるBOLD(Business Opportunities for L'Oreal Development)を通じて同社の少数株式を取得していた。
ロレアルは、独自の節水ソリューションを開発するギオサと15年に協業を開始し、18年に1.5リットルの水でシャンプーをすすぐことができるシャワーヘッドを共同開発した。21年1月開催のCESでは、プロフェッショナルサロンや家庭で使えるシャワーヘッド“ロレアル ウオーター セーバー(L'Oreal Water Saver)”を発表。同製品は特許取得済みの水細分化技術を用い、髪をすすぐ際に使用する水を最大69%削減。通常1分間に7リットルの水流量を2.4リットルに抑制する。水流の速度を上げる代わりに水滴のサイズを大幅に小さくし、毛髪と接する面積を向上させながら強い圧力を維持する。シャワーヘッドはスマートフォンと連動し、節水と節電量を正確に計測することができる。
米「タイム誌」が選ぶ21年の「今年の発明ベスト100(The 100 Best Innovations)」にも選ばれた“ロレアル ウオーター セーバー”は、現在ヨーロッパと中東の1万以上のサロンで展開しており、今後数年間で世界の20万以上のサロンに導入する予定だという。
ロレアルのニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)は声明で、「ギオサの買収は、サステナビリティを製品やサービスに直接組み込む能力をさらに強化し、節水技術を新たな処方や技術革新にシームレスに統合することを可能にする。より資源を必要とせず、高性能で持続可能なソリューションを迅速に拡大し、ビューティ業界の幅広いエコシステムに展開していく」と述べた。
また同社のバーバラ・ラヴェルノス(Barbara Lavernos)=リサーチ&イノベーション・テクノロジー担当デュプティCEOは、「2030年までに世界人口の60%近くが水不足に直面すると予想されている。科学と技術の融合は、貴重な資源を守るための取り組みにおいて重要な役割を果たすだろう。ロレアルとギョザは、共に貴重な資源である水を守りながら、世界中の人々に最高の美容体験を提供する。ギオサが正式にロレアルに加わることで、われわれは研究とイノベーションを加速させ、プロフェッショナルおよびコンシューマー市場に向けてより革新的で持続可能なビューティソリューションを投入できる」と語った。