ファーストリテイリングの2023年9〜11月期連結業績(国際会計基準)は、残暑が続いた中でも増収増益となった。特に海外売り上げの伸びが大きく、北米、欧州がけん引。国内では高気温の中でも発注コントロールが奏功し、大幅な増益となった。全世界的な気候変化を受け、「秋冬だからこれを売るという前年踏襲型MDは改めて見直す」(岡﨑健 取締役グループ上席執行役員)。
海外ユニクロ事業は「全ての地域で大幅な増収増益」を達成した。欧米は「ユニクロ:シー」、ワイドパンツ、カシミヤセーターなどがヒット。ウォッシャブルニットなど「グローバルなニーズを反映した商品開発」を進めてきたことも支持につながった。グレーターチャイナ(中国本土、香港、台湾)も好調。東南アジアは出店増による大幅増収となるも、「南国の生活需要に結びついた商品構成やSKUごとの在庫管理が甘く、業績予想には未達。ローカルに根差した商売が必要」と、人材育成を含めた経営コントロールを強化する。
国内ユニクロ事業は3カ月間の既存店売上高が同0.2%増と微増。ただし、「実需を受けて追加発注をかける精度が高まり、原価率が改善した」。ただし、12月の既存店売上高は同15.4%減と大きく落とした。「気温が高い中で防寒衣料の在庫が多かった」「季節問わず着られる商品を増やすと共に、重ね着やスタイリングで気温対応できる提案を増やす努力が重要」という。
売上高に相当する売上収益は前年同期比13.2%増の8108億円、営業利益は同25.3%増の1466億円(営業利益率18.1%)だった。うち、海外ユニクロ事業の売上収益は同23.3%増の4413億円、営業利益は同35.8%増の778億円(同17.6%)、国内ユニクロ事業は売上収益が同1.5%増の2444億円、営業利益は同18.0%増の465億円(同19.0%)、ジーユー事業の売上収益は同10.7%増の878億円、営業利益は同16.4%増の123億円(同14.1%)、グローバルブランド事業の売上収益は同2.4%減の366億円、営業利益は同43.9%減の3億円(同1.1%)。グローバルブランド事業は暖冬や店舗閉店により苦戦。
12月以降売り上げが減速しているものの、24年8月期の業績予想に修正はなく、売上収益が前期比10.2%増の3兆500億円、営業利益がどう18.1%増の4500億円(同14.8%)の見込み。