花王は、メイクアップブランド「オーブ(AUBE)」の販売を8月末をメドに終了する。同社は、2018年から推し進める化粧品事業の構造改革の一環で、戦略ブランドへの投資増強と併せてブランドの統廃合を進めており、その対象として「オーブ」は販売終了という決断に至った。1994年の誕生以降、「誰でも簡単に美しいメイクを実現する」商品とともに旬な俳優やアーティストを起用したプロモーションで消費者の心を掴んできたが、ブランド誕生30年でその幕を閉じる。
「オーブ」はリップ、アイシャドウ、チークなどポイントメイクアップ品をラインアップし、2420〜4180円の中価格帯で販売していた。しかし2011年の東日本大震災以降、消費者の低価格志向が顕著になり、1000円前後の商品が売り上げを伸ばす一方、ドラッグストアのボリュームゾーンである2000〜3000円台の中価格帯コスメは苦戦を強いられてきた。そこに韓国コスメやD2Cブランドが台頭し競争は激化。一方、コロナ禍の影響でリベンジ消費や高級志向が高まり、化粧品市場は低価格帯の“プチプラコスメ”と高価格帯の“デパコス”への二極化が進み、中価格帯コスメの存在感は希薄化していた。
花王によると後継ブランドは「ない」と明言するが、同社がドラッグストアを中心に流通するポイントメイクアップブランドの中には「ケイト(KATE)」や「メディア(MEDIA)」がある。特に「ケイト」は、コロナ禍中に誕生した“リップモンスター”が爆発的なヒットを記録し、化粧品事業の売り上げに大きく貢献。その勢いとともにグローバル市場を見据えた戦略的な投資を拡大しており、化粧品事業の中でも盤石の地位を築き始めている。今後、ドラッグストア市場では「ケイト」に大きな期待がかかる。
「『オーブ』に救われたユーザーは少なくない」
一報を受け、「オーブ」を取り扱う小売店からは「非常に厳しい状況にあった」という声があがった。「積極的なプロモーションも打たず、正直なところひっそりと展開していた状況だった。売り上げに関しても、リピーターなど主に既存客で形成されていた」という。
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