「ジーユー(GU)」が2024年春のテーマとしているのは“フレッシュ・ユーティリティ(FRESH UTILITY)”。ナイロン系の軽やかさと機能性、フレッシュカラーを打ち出している。引き続き、ユーティリティムードをトレンドとして考え、ショートパンツ(1990円)の上にミニスカート(1990円)を重ねるような、薄手ボトムスのレイヤードを提案。撥水加工を施して、旅行やアウトドアにも使いやすく仕上げている。
“暑すぎる夏”を見越して、春物も全体的に薄手でシーンをまたいで着回しやすいライトなアイテムが増えている。風通しや速乾性など、コンフォート(快適さ)面でも機能を高めている。ファーストリテイリングが進める顧客の声を反映したものづくりである“VOC”(ボイス・オブ・カスタマー)に力を入れる取り組みも目立った。
素材はデニムにフォーカス
素材ではデニムをプッシュしている。ミドルライズのカーゴジーンズ(2990円)など、動きやすいデザインをそろえた。ダメージ系やきれいめ、ホワイトデニムなどを幅広くラインアップ。セットアップ風に合わせられるデニムクロップドジャケット(3990円)も企画している。グローバルマーケティング部PRチームの荒木久美子氏は「ミドルライズは1つ大きいサイズを選んで、ローライズではいてもOK、ミドルライズの程よい肌見せは大人もチャレンジしやすい」と、着こなしをアドバイス。コンパクトなトップスにワイドシルエットのボトムスを合わせるバランスを勧める。長袖のカットソーの上にタンクトップを重ねる新たなレイヤードも提案する。こちらはセットでの販売だ(2990円)。
ウィメンズのボトムスではイージーウエストの“プルオンパンツ”を引き続きキーアイテムに据える。同シリーズは22年秋冬からスタートしており、既に知名度がある。コクーンシルエットやテックパラシュート素材を追加し、新鮮に見せる。「(コロナ禍中のおうち需要として広がった)ウエストゴムパンツのニーズはアフターコロナでも強い。きれいめに決まるパンツはお客様の声から生まれた」(荒木氏)という。オフィスカジュアルにもなじむよう、UVカットや撥水機能を備えたトップスとのセットアップを提案している。
人気の“ラウンドショルダーバッグ”に進化版
税込価格がどれも990円のトップスを約2年ぶりに復活しているのもポイントだ。名付けて“990(きゅっきゅう)トップス”。ポップコーンやメッシュ素材を採用し、ユーティリティボトムスと合わせやすいコンパクト丈でそろえた。「メッシュやシアー、カットアウトデザインなど6型ほどを予定している」(同氏)。
雑貨では、人気の続く“ラウンドショルダーバッグ”に薄い中綿を入れて、丸みを出した。ショルダーベルトをボディと同じ素材で統一。装いに一段となじませやすくなった(ソフトラウンドショルダーバッグは1,990円)。ソフトナイロン素材のウエストバッグはちょっとした外出やレジャー、フェスにも重宝なサイズ感と使い勝手をアピールしている(990円)。
メンズはスーパーバギースラックスでワイドさを高めた。2タック仕様に変えて、ウエスト周りの立体感もアップ。バギージーンズにはベージュを加えた。デニムジャケットは腰・内ポケットを備えている。ウィンドプルーフアウターはスタンドカラーブルゾンやシェルパーカを用意した。「女性がメンズ物を買うケースが増えていることも視野に入れている」(同氏)と、ジェンダーレスの着こなしに誘う。
一般的にはまだ冬物セール時期の1月上旬から既に売り場を切り換えており、シーズンの動きを先導するスケジュール感で春物商戦をリードする構え。