歌手のハリー・スタイルズ(Harry Styles)が、メンズブランド「エス エス デイリー(S.S.DALEY)」の少数株式を取得する。1月11日、メンズ最大の見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」で行われた「エス エス デイリー」のショー終了後に、デザイナーのスティーブン・ストーキー・デイリー(Steven Stokey-Daley)が明かした。金額等の詳細は不明だ。
27歳のスティーブンは「ハリーと私は『エス エス デイリー』の将来について共通のビジョンを持っており、ブランドの長寿化と現代的なブリティッシュ・ヘリテージ・メゾンへの事業拡大に焦点を当てながら、この新たな章を共に歩むことを楽しみにしている」と語った。「『エス エス デイリー』のD2Cビジネスを構築し、“長期的で持続可能な拡大”の計画を推進する」。
2人は、ハリーのスタイリスト、ハリー・ランバート(Harry Lambert)の紹介により出会った。ハリーの楽曲「Golden」のミュージックビデオのスタイリングを担当した際、スティーブンが手掛けた卒業コレクションを彼に着せたのだ。
スティーブンは英・ウェストミンスター大学を卒業後、2021年9月にナショナル・ユース・シアターの芸術監督であるポール・ロズビー(Paul Roseby)の支援を受け、ロンドン・ファッション・ウイークにデビューした。同年、英国ファッション協議会(BFC)の“ニュージェンイニシアティブ”受賞者に選ばれ、22年にもBFC財団から再び賞を授与された。また同年、ファッションプライズ「LVMH Young Fashion Designers Prize」でもグランプリを獲得している。
ワイドパンツ、アーガイルニットのウールベスト、刺しゅう入りシャツなど、英国上流階級のユニフォームを性別にとらわれないテイストで表現したスティーブンは、Z世代の感性に訴えかけ、女性客も増加中だ。「エス エス デイリー」は現在、サックス・フィフス・アヴェニュー、ドーバー・ストリート・マーケット、マッチズファッション、バーグドルフ・グッドマン、10 コルソコモ ソウル、I.Tなど、多数の有名小売店で取り扱われている。
フィレンツェで「エス エス デイリー」のショーに出席したポール・スミス(Paul Smith)は、「彼にとって理想的なのは、クリエイティブなデザイナーとしてだけでなく、コマーシャルなデザイナーとしても成長できるような商業的な会社と並行して仕事をすることだと思う。それは誰もが夢見ることだと思うが、彼は商業性と創造性をバランスよく持っていると感じつ」とスティーブンを賞賛し、「彼のデザインは、初期の私の頃のものと似ているかもしれない。私たちは今、60数カ国で展開している。だから商売や、各地のショップのためになることをもっと意識しなければならない」と続けた。
ハリーだけではなく、最近はセレブリティーがブランドの株主となる傾向が高い。その中には、「スパンクス(SPANX)」に投資したオプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)とリース・ウィザースプーン(Reese Witherspoon)、スキーウエアメーカーの「パーフェクト・モーメント(PERFECT MOMENT)」に投資したプリヤンカー・チョープラー(Priyanka Chopra)とニック・ジョナス(Nick Jonas)、「デストレー(DESTREE)」に投資したビヨンセ(Beyonce)、ジェシカ・アルバ(Jessica Alba)、リアーナ(Rihanna)、「オータム・アデイグボ(AUTUMN ADEIGBO)」に投資したミラ・クニス(Mila Kunis)、キャメロン・ディアス(Cameron Diaz)、ガブリエル・ユニオン(Gabrielle Union)、スニーカー・ブランド「ピーフォーフォーエイト(P448)」に投資したマーク・ウォールバーグ(Mark Wahlberg)などが挙げられる。