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スパイバーの研究開発にケリングなど4社が参画 循環型に向け化学薬品の影響を調査

人工タンパク質「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」を開発したスパイバーの研究開発プロジェクト「バイオスフィア・サーキュレーション(生物圏循環)」に新たに、ケリング(KERING)のマテリアル・イノベーション・ラボ(Materials Innovation Lab)、「アイリーン フィッシャー(EILEEN FISHER)」「ジョンストンズ オブ エルガン(JOHNSTONS OF ELGIN)」、染料大手のダイスター(DYSTAR)が加わった。1月10〜12日にフランス・パリで開催された「バイオファブリケート パリ サミット2024」で発表された。

すでにゴールドウインや「パンゲア(PANGAIA)」が参画する同プロジェクトでは、未使用のアパレル製品やテキスタイル、農業廃棄物を使用し新たな素材へ再生する技術の確立を目指す。協力各社はスパイバーに、特定の繊維を混紡したサンプル素材を提供する。スパイパーは、サンプル素材に使われている化学薬品や色処理が同社の発酵技術にどのような影響を与えるかを研究する。

スパイバーは、サトウキビやとうもろこしといった食物を活用しタンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を製造する。2022年には量産工場を開設し、23年秋に初の量産コレクションを発表した。生産規模拡大に際し同社は、農業廃棄物や繊維廃棄物など食物以外の原料を探している。コットンやウールなどの天然繊維は同社の技術で分解されるものの、化学薬品や染料、合成繊維の混合物の分解が課題だ。

東憲児サステナビリティ担当兼エグゼクティブ・バイス・プレジデントは、「私たちは、各社が実際に使っている素材を用いて、染料が私たちの循環プロセスにどのような問題を引き起こすのかを検証し、循環型の可能性を探っている。スケールするにはさまざまな課題がある。現実的な解決策になるためには、十分な量の廃棄物と変換が必要だ」とコメント。また、繊維の種類ごとの循環型ソリューションが求められており、循環が難しい素材については規制する法整備も必要だと加えた。

ケリングのマテリアル・イノベーション・ラボのトップ、クリスチャン・トゥビト(Christian Tubito)は、「循環型の産業を実現するためには、あらゆるソリューションを検証しながらさまざまな段階でのアプローチが必要だ。同プロジェクトは、繊維リサイクルに新たな道を開く野心的で挑戦的な取り組みだ。リサイクルが最終手段から、使用不可能な繊維を生まれ変わらせる新たな選択肢になることを期待したい」と話した。スパイパーは、ケリングのいくつかの工場と連携し素材開発も進めている。

同プロジェクトの調査結果は、参画企業以外のブランドも閲覧可能なデータベースにまとめ、デザイン設計における繊維や染色の影響を把握するために活用してもらう。データベースは年内に公開予定。

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