新たなバイオ素材への需要が高まるなか、レザーの代替素材として登場した“マッシュルームレザー”。同分野で2大新興企業として注目を集めるのがエルメス(HERMES)と組んだマイコワークス(MYCOWORKS)、そしてアディダス(ADIDAS)やケリング(KERING)と組んだボルトスレッズ(BOLT THREADS)だ。両社の動向から“マッシュルームレザー”の現在地を探る。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月15日号からの抜粋です)
“マッシュルームレザー”とは、きのこの菌糸体を培養させて生産する人工レザー。再生可能なキノコ類の菌糸体(マイセリウム)から作られ、従来の動物の皮革と比較して環境負荷が低いため、サステナブルな次世代素材として大手ファッションブランドや高級家具メーカー、投資家の注目を集める。
米・カリフォルニアを拠点とするマイコワークスは2013年に創業。特許技術“ファイン マイセリウム(Fine Mycelium)”を開発し、代表商品の「レイシ(Reishi)」は高い強度と耐久性を持つ。21年には「エルメス(HERMES)」と協業し、“ファイン マイセリウム”技術を活用して開発した素材「シルヴァニア(Sylvania)」を発表し話題を集めた。そのほかにも高級家具メーカーの「リーン・ロゼ(LIGNE ROSET)」や自動車大手のゼネラルモーターズ(GENERAL MOTORS)とも協業する。マシュー・L・スカルリン(Matthew L. Scullin)=マイコワークス最高経営責任者(CEO)は米「WWD」の取材で、「レザーが今日の品質に達するまでに100年以上の時間を要した。マイセリウムはわずか数十年でその基準に達しようとしている。当社の素材は、一緒に忍耐強く開発してくれたパートナー企業のおかげで日進月歩で進化しており、去年には到底不可能だった品質基準に到達することができている」と話す。
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