「グッチ(GUCCI)」が2022年11月にアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)のクリエイティブ・ディレクター退任を電撃発表して以来、業界は彼の今後についてのウワサで持ちきりだ。
23年2・3月のミラノとパリのファッションウイーク中、ゴシップ好きたちの間では、ミケーレの次の行き先は「フェンディ(FENDI)」で、後任のサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarnoa)が「グッチ」でデビューショーを行う9月に公式発表されるのではないかとささやかれていた。実際は何も起こらなかったが、その後もたびたびウワサがもち上がっている。
ミケーレがローマに住み続けたがっていたことから、ブランドの誕生地がローマの「ブルガリ(BVLGARI)」に行くのではという説もある。マシュー・ウィリアムス(Matthew Williams)が「ジバンシィ(GIVENCHY)」を去ると報道が出たときも、その後任はミケーレなのではという憶測がすぐに立った。
「フェンディ」「ブルガリ」「ジバンシィ」の共通点は、3ブランドともLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON 以下、LVMH)傘下にあることだ。ミケーレの新天地は「グッチ」親会社であるケリング(KERING)のライバル社だと推測するのは容易だ。マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)が揺るがぬ地位を築いているにもかかわらず、「ディオール(DIOR)」の名を挙げる声もあった。
LVMH傘下ブランドのみならず、「シャネル(CHANEL)」に参加するとか、23年9月にサラ・バートン(Sarah Burton)が抜けた「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」の後任になるという話も出た。
意表をつくような推測もあった。国際的投資グループのアルサラ・インベストメント・グループ(ALSARA INVESTMENT GROUP)の子会社であるビダヤット(BIDAYAT)は、23年にイタリアのファッションハウス「ウォルター アルビーニ(WALTER ALBINI)」を復活させるために、アーカイブの大部分を獲得したが、そこにミケーレが参加するのではないかというウワサだ。ミケーレは24年に「グッチ」との競業避止義務が終了するため、今後何か明らかになるのではと期待が高まっている。
マルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)=元グッチ社長兼CEOの行く先が、ミケーレの新天地となる可能性もある。ビッザーリ元社長は、15年にミケーレを「グッチ」クリエイティブ・ディレクターに抜擢した人物であり、2人はブランドを成功へと導いた名コンビとして知られている。同氏は23年9月にケリングを去っており、業界への復帰が期待されている。