「ルメール(LEMAIRE)」は1月17日、パリ・メンズ・ファッション・ウイークでメンズとウィメンズからなる2024-25年秋冬コレクションを発表した。今季の会場は、マレ地区のヴォージュ広場に面した本社内のスタジオ。広々とした空間をランダムにモデルが行き交うという日常風景を映し出したようないつもの演出から趣向を変え、小高い円形のランウエイをモデルが歩くというスタイルで新作を見せた。
今回、自分たちの仕事場でショーを行った理由について、クリストフ・ルメール(Christoph Lemaire)は「プロセスが結果を決めると信じているから」と、実際にコレクションが生み出される環境の重要性を強調。共にクリエイションを手掛けるサラ・リン・トラン(Sarah-Linh Tran)も、「第一にヒューマンスケールの距離で服を見ることができ、近くじゃないと分からないような質感や色を見ることができるということ。そして、何よりモデルが『ルメール』の服を着てどう感じているかを見て感じてほしかった。その感覚というのが、私たちにとってはとても大切だから」と明かす。
そんなショーに登場したのは、ゆったりとしたシルエットの多種多様なアウターやソフトに仕上げたテーラリングを軸にしながら、ブラウン系やベージュ、黒のワントーンで見せる「ルメール」らしいレイヤードルックだ。ルメールは今季を象徴するアイデアとして、「センシュアリティー」「イン&アウト」、そして「テクニカルな機能性」の3つを挙げた。「センシュアリティー」は、バレエから着想を得たセカンドスキンウエアや透け感のある滑らかな生地使いなどに見られ、「イン&アウト」は外出時に着るために作られたパジャマシャツやスリッパで表現。「テクニカルな機能性」は、ラッカードシルクのように見える日本製ナイロンを使った防水性を備えたコートなどに取り入れているが、「声高に”テクニカル”とは謳いたくない。あくまでエレガントに落とし込んでいる」と話す。そして、終盤にはオランダのアーティストデュオ、フリーリング・ウォーターズ(Freeling Waters)が手掛けたパターンのプリントや刺しゅうでフォークロアの要素をプラス。エフォートレスなシックを体現するようなコレクションにアクセントを加えた。
ランウエイを歩くモデルは、時に客席を眺めて立ち止まったり、何かを探すように振り返ったり。それぞれが違う動きや仕草を見せる。そこには「『ルメール』とはスタイルであり、スタイルはキャラクターを作るもの。私たちにとって最高のスタイルとは街中ですれ違う人を見て、“この人は誰だろう?”を思わせるものだ」という、個性を大切にするルメールたちの思いが反映されている。