ヘアサロン「トニーアンドガイ ジャパン(TONI &GUY JAPAN)」の雑賀英敏・代表が、アーティストエージェンシーの「オーガスト インターナショナル(AVGVST INTERNATIONAL)」に所属した。現役のサロン代表がエージェンシーに所属するのは異例のことだが、その決断の背景には「美容師の可能性を広げたい」という思いがあった。「対外的な活動において、これまでは主に業界誌の作品作りを行ってきたが、一般誌の仕事も受けることで、美容師の認知度を上げたいと考えた。また、ヘアメイクアーティスト(以下、ヘアメイク)の仕事をやりたいと考えている美容師も多い。そのために美容師を辞めてしまう人もいるが、美容師をやりながらヘアメイクの仕事も受けられる道を開拓したいと考えた」。
美容師とヘアメイクは、行う作業としては似ているが、現在は別の職種として認識されているケースが多い。ヘアメイクの仕事は、基本的にヘアカットやカラーリングがないため、国家資格がなくてもできる。美容師の顧客は主に一般人だが、ヘアメイクはモデルや芸能人が多い。雑賀代表のような立場なら別だ
が、一般の美容師がヘアメイクを兼業しようとする場合、サロンワークのスケジュール管理が問題となる。その問題を「店内独立」という形でクリアにしたのが、かあこヘアメイクアーティスト(モンド アーティスト グループ所属)だ。滋賀県のヘアサロン「SOHO」に10 年間勤務した後、退社。フリーランスとなり、「SOHO」と契約して、自分のペースで「SOHO」でも働いている。「この働き方を選択するときに、サロンでの売り上げは落とさないと心に決めた。売り上げを落とすと、他のスタッフから『勝手なことして......』と思われてしまうからだ。サロンに立つ日数を減らして、売り上げを保つのは大変なので、軽々しくおすすめできる働き方ではないが......と、かあこヘアメイクアーティスト。美容師とヘアメイクの両立には、まず美容師として実績を残すことが必要のようだ。
今回の雑賀代表の「オーガスト インターナショナル」入りは、かあこヘアメイクアーティストのような"特殊ケース"ではなく、美容師がヘアメイクの仕事を受けるための"王道"を切り開くものだ。エージェンシーに、美容師の名前が数多く並ぶ日も近いかもしれない。