ファッションとアートの急接近を象徴するのが、ファッションメディアの動きだ。「GQ JAPAN(以下、GQ)」は2023年9月発売のリニューアル記念号の特集にアートを選び、「ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR以下、バザー)」は10月、“アートがファッションを熱くする”をテーマに特別号「ハーパーズ バザー アート(Harper's BAZAAR ART以下、バザー アート)」を創刊するなど、ファッションメディアによるアートの露出が増えている。一方で、アートメディア「ARTnews JAPAN(以下、ARTnews)」は、昨年には3回にわたりコレクションブランドの「アクリス(AKRIS)」とタッグを組んで現代アート展を開催したり、ファッションとアーティストのコラボレーションなどを記事で取り上げたりしている。昨今のアートとファッションの関係をメディアはどう捉え、コンテンツにしているのか。ファッションとアートを独自の視点で取り上げている3媒体の編集トップがアートとファッションの関係について鼎談した。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月22日号からの抜粋です)
プロフィール
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WWDJAPAN(以下、WWD):「GQ」はリニューアル号の特集にアートを選んだ。その理由は?
石田潤「GQ」ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテント(以下、石田):新しい「GQ」のコンセプトは「TOKYO NEW GENTLEMEN」。現代のジェントルマン像あるいは読者が今、何に興味を持っているかを考えたとき、従来のファッションや時計、車、スポーツから、アートや工芸、旅などライフスタイルにも広がっているという感覚があった。実際に周囲の読者像に近い人々と会うとアートの話題になることが多く、ではアートでやってみようということになった。
WWD:アートを誌面づくりでどう表現しようした?
石田:カバーストーリーはBTSのRMと現代美術作家の杉本博司さんの対談。他にも、ファッションやセレブリティーの文脈にいながらもアート界で評価されている藤原ヒロシさんや元「ソフ(SOPH.)」代表の清永浩文さんなどに、ストーリーテラーとして登場してもらい、アートと「GQ」の接点を作ろうと考えた。RMはポップスターでありながらアートコレクターでもあり、アート界に大きな影響を持っている人物。そういう人が世界で注目されているのも面白い傾向だと思う。また、リニューアルのパーティーでは森美術館でイベントを開催。ファッション業界とも関連するエコロジーを主題にした企画展を、森美術館の館長にツアー形式で紹介してもらった。このように誌面だけでなく、アートとのリアルな接点を作れたのは良かった。
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