アートの世界の人にとって、「ファッションとアートがうまく融合している店」は、どこなのだろう?そう思い、ファッションへの造詣も深いウェブ版「美術手帖」の橋爪勇介編集長に聞くと、昨秋オープンした「カサロエベ表参道」との答えが返ってきた。そこで「WWDJAPAN」編集部は、橋爪編集長とショップ訪問。外観から内装、商品のように展示する作品まで同店のアートを取材しながら、橋爪編集長にファッションとアートが融合する意味や相乗効果、取り入れる上での留意点を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月22日号からの抜粋です)
アートは、クラフトやデザインと並び
「ロエベ」を形作る重要な要素
アートとクラフト、そしてデザインを、ブランドのビジョンを形作る上での中心と捉えているのが、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)がクリエイティブ・ディレクターに就任して以降の「ロエベ(LOEWE)」だ。特に日本は、世界有数の工芸の中心地。その意味でも「カサロエベ表参道」には国内外を問わず、数多くのクラフトやアートがバッグやシューズ、洋服と同居している。
「カサロエベ表参道」の「カサ」とは、スペイン語で「家」の意味。基本的には都市で1店舗(東京は銀座と表参道の2店舗)の「カサロエベ」では、アートを個人の家の中にあるように自然な姿で配置する。パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の貴重な陶芸さえケースなどで覆うことはせず、メダカが中で生きている(!!)1階のビオトープも水やりなどの手入れはショップスタッフが担当。肩肘張らないムードもまた、ファッションとアートが自然な形で融合している理由だろう。ジョナサンは30代のアートコレクターの女性をイメージして、店舗はもちろん配置するアート作品をディレクション。実際、作品を調達したり、各店に赴いて店内に配置したりの作業は、本国のアート担当スタッフが担う。
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