アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。ファッション業界にとっての元日は、さらなる売り上げも見込める一粒万倍日と天赦日、天恩日が重なる最強開運日として期待値も高かった。だけど、地震やJAL機の炎上など、相次ぐ災難で新年を祝う喜びは一瞬にして消し飛んでしまった。冬なのに寒くない日々が続き、ダウンジャケットの出番もなし。そんなものだから、セールの購買意欲がなくなってしまう人も多いだろう。日々、もどかしい……、どうなる2024年!? (この記事は「WWDJAPAN」2024年1月15日号からの抜粋です)
本明秀文・アトモス創業者(以下、本明):多くの人は今日が仕事始め(取材日は1月4日)。僕は取引先銀行の賀詞交換会に呼ばれた。そこで聞くところ、アパレルは暖冬で冬物の売れ行きがかなり鈍い。重衣料の売り上げはキャッシュフローへの影響が大きいから、来年も異常気象が続けば、資金繰りが厳しくなるアパレル企業がかなり出てくると思う。
――新春の冬物のセールをやめて、型落ちしてからアウトレットに流すブランドも多いみたいですね。
本明:それができるのは体力があるところだろうね。体力がないところや在庫が溢れているところは、少しでも商品をさばきたいからセールするしかない。ナイキも在庫が倉庫に入らないほど多くて、置き場所に困っているとか。だからアウトレットにも流すんだけど、店頭のセールとほとんど変わらない値段で売っているものもある。アウトレットの様相も変わってきた。能登半島地震の風評被害も心配だね。インバウンドが来なくなると日本の経済は成り立たなくなる。
――大災害が起こると買い控えようという気持ちも生まれます。東日本大震災の後は、ミニマリストが注目を浴びましたし。
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