PROFILE: ニコラ・フロケ / ハースト婦人画報社社長
「エル(ELLE)」や「ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)」「ヴァンサンカン(25ans)」「リシェス(RICHESSE)」「メンズクラブ(MEN’S CLUB)」など、数多くのメディアでファッションやビューティ、ライフスタイルを扱っているハースト婦人画報社のニコラ・フロケ社長は今、現代アートに夢中という。それは、単なる趣味・嗜好の話ではない(ちなみにお気に入りの1人は李禹煥)。ファッションやビューティ業界に身を置く経営者として、アートに商機を感じているからだ。フロケ社長は、どこからアートの盛り上がりを体感し、アートの何に商機を感じ、それをどうハースト婦人画報社のビジネスに繋げようとしているのか?話を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月22日号からの抜粋です)
WWDJAPAN(以下、WWD):最近のアート、特に現代アートにおける盛り上がりをどう捉えている?
ニコラ・フロケ=ハースト婦人画報社社長(以下、フロケ社長):数年前から「勉強しなければ」という感覚だった。世界的に見れば現代アートの市場はとても大きく、日本は遅れていた印象だが最近、読者の興味・関心が高くなっている。それは第六感ではなく、データからも明らかだ。30〜40代の新しい世代が好奇心を示し、今は興味を抱いている。現代アートが盛り上がっている海外では周辺ビジネスも盛んで、欧米にはニッチなアートメディアがたくさん。それぞれ、いろんな角度からアートに迫っている。一方の日本は、まだまだ少ない。そこにはビジネスチャンスがあるだろう。既にメディアと小売りのビジネスが半々のハースト婦人画報社では、アートの小売りも考えている。
WWD:そもそも、なぜ現代アートへの関心が高まっていると思う?
フロケ社長:世界中で収集や投資の対象になったことは大きいが、現代アートは社会問題とのつながりが強い。現代アートにはクリエイターの美学とともに、ジェンダーから気候変動までの社会問題に対するメッセージが含まれており、ゆえに若い世代が興味を示している。今アートは、社会問題へのメッセージを伝えるユニークな武器。日本でも気軽には話せないかもしれない社会問題が、アートを介してコミュニケーションされている。
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