「ポール・スミス(PAUL SMITH)」は、ドイツの全ての直営店を1月末でクローズする。対象となるのは、ドイツの第1号店で2014年にオープンしたハンブルグ店のほか、ベルリン店とミュンヘン店で、卸は今後も継続する。なお、閉店は主に同市場の不景気による需要減のほか、インフレやコストの上昇によるものだという。
同ブランドの広報担当者は、「ドイツで運営する店舗のリース契約は、現在とは購買傾向が全く異なるコロナ禍前に締結している。現地スタッフの貢献や努力を思うと、閉店の決断は苦渋に満ちたものだった。一方で、ドイツにおける当ブランドの卸売の販売網を誇らしく思っており、今後も大切な取引先と共に尽力していきたい」とコメントした。
ポール・スミスの23年6月期決算は、売上高は前期比3.8%増の1億5260万ポンド(約286億円)と微増だったものの、営業損失は前年の751万ポンド(約14億円)から1162万ポンド(約21億円)に、純損失は同じく809万ポンド(約15億円)から1563万ポンド(約29億円)へと拡大している。
欧州最大の経済大国であるドイツだが、金利上昇や外需の落ち込み、エネルギー価格の上昇などにより低迷が続いている。ドイツ連邦統計局(Federal Statistical Office of Germany)によれば、23年の国内総生産(GDP)は暫定値で0.3%縮小した。