ファッション誌「ヴォーグ(VOGUE)」や「ヴァニティ・フェア(VANITY FAIR)」「GQ」などを発行する米大手出版社コンデナスト(CONDENAST)の社員は1月23日(現地時間)、24時間にわたるストライキを決行した。オンラインストライキも実施し、読者に同社のデジタルコンテンツやSNSを閲覧しないよう呼びかけた。
背景には、2022年9月から労組と経営陣の間で契約交渉が難航していた中、23年11月に同社の最高経営責任者であるロジャー・リンチ(Roger Lynch)が、米国の社員の5%にあたるおよそ100人をリストラすると宣告したことがある。
ストの参加者らは、コンデナストの本社があるビルの外に、「アカデミー賞」の授賞式を模したレッドカーペットを用意し、その上を歩いて抗議した。この日は「アカデミー賞」ノミネートの発表日で、本来であれば多くの編集スタッフが関連記事などを執筆するはずだった。なお、英「ガーディアン(THE GUARDIAN)」の報道によれば、社員ら400人以上がストに参加したほか、抗議活動に賛同した女優アン・ハサウェイ(Ann Hathaway)が、同日に行われていた「ヴァニティ・フェア」の撮影現場を途中で退席したという。
また、コンデナストが擁する音楽メディア「ピッチフォーク・メディア(PITCHFORK MEDIA以下、ピッチフォーク)」では、社員の約半数が解雇され、組織自体が「GQ」に統合された。同社のチーフ・コンテンツ・オフィサー兼「ヴォーグ」編集長のアナ・ウィンター(Anna Wintour)が、この決定を伝えたという。「ピッチフォーク」の社員はX(旧Twitter)に、「アナ・ウィンターは解雇を告げるときでさえ、トレードマークのサングラスを外さなかった。上層部の無神経さには呆れるばかりだ」と投稿している。
同社の労組は、「ヴォーグ」「ティーン ヴォーグ(TEEN VOGUE)」「ヴァニティフェア」「GQ」「アリューア(ALLURE)」「グラマー(GLAMOUR)」「セルフ(SELF)」「コンデナスト トラベラー(CONDENAST TRAVELER)」「アーキテクチュラル ダイジェスト(ARCHITECTURAL DIGEST)」「エピキュリオス(EPICURIOUS)」「ボナペティ(BON APPETIT)」「コンデナスト エンターテインメント(CONDENAST ENTERTAINMENT)」の社員で組織されている。