ファッション

「スキャパレリ」「シャネル」「アレキサンダー・マックイーン」など、写真で振り返るテクノロジーとファッションの歴史的な出合い

ダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)=アーティスティック・ディレクターが手掛ける「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」はこのほど、2024年春夏オートクチュール・コレクションを発表した。ドラマチックなドレスやビニール素材のアイテムなどが業界人たちの目を引いた一方、SNS上ではとあるルックが話題を呼んだ。

それは、「スワロフスキー(SWAROVSKI)」のクリスタルと共に、電子回路やガラパゴスケータイ(ガラケー)、電卓、バッテリー、CDなどが刺しゅうされた“バイオニック ドール(Bionic Doll)”とミニドレスだ。ローズベリー=アーティスティック・ディレクターは、「これらは全て2007年以前に使用されていたもので、今では前時代的なテクノロジーとなった電子廃棄物。TikTokなどのSNSでは『スキャパレリ』のコレクションをユーザーがデジタル化して着用しているので、私は記憶の中に残っているものを形にすることにした」と語る。

「スキャパレリ」の電子廃棄物を再利用したルックは、テクノロジーとの融合の可能性を模索したファッション史の1ページに加わっただろう。そこで、今回はテクノロジーとファッションの歴史的な出合いを振り返りたい。

「アレキサンダー・マックイーン」1999年春夏コレクション

「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」1999年春夏コレクションは、ファッション史上でもっとも印象に残るフィナーレのひとつだ。モデルのシャローム・ハーロウ(Shalom Harlow)が、真っ白のマルチレイヤード・ドレスを着てランウエイに現れると、左右から2台の工業用ロボットが黒と黄色のスプレーペイントを吹きかけるライブパフォーマンスを行った。

「ジバンシィ」1999-2000年秋冬コレクション

1996年から「ジバンシィ(GIVENCHY)」のデザイナーを務めていたアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)は、1999-2000年秋冬コレクションでSF映画「トロン(Tron)」に着想。キース・ヴァン・ダー・グラーフ(Kees van der Graaf)と協業し、LED基盤を使用した真っ赤に光るルックが現れた。

「アレキサンダー・マックイーン」2006-07年秋冬コレクション

ポストプロダクション「グラスワークス(Glassworks)」の協力のもと、当時コカイン使用疑惑でファッションシーンから追放状態にあったケイト・モス(Kate Moss)を、フィナーレ時にホログラムで登場させた「アレキサンダー・マックイーン」2006-07年秋冬コレクション。なお、マックイーンとケイトは親友として知られた。

「フィリップ プレイン」2016年春夏コレクション

フィリップ プレイン(PHILIPP PLEIN)」2016年春夏コレクションは、ロボットがギターをかき鳴らし、ドラムを叩く中でショーがスタート。そして、モデルたちはウォーキングせずにベルトコンベアで運ばれ、ランウエイ横からロボットに渡されるサングラスやバッグでルックを完成させた。

「シャネル」2017年春夏コレクション

シャネル(CHANEL)」2017年春夏コレクションは、ファーストルックとセカンドルックでロボット仕様のモデルがランウエイに登場。続く17-18年秋冬コレクションでは会場中央に巨大なロケットを設置し、故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)はラグジュアリーとサイバーの共演を図った。

「フィリップ プレイン」2018-19年秋冬コレクション

16年春夏コレクションから2年半後、「フィリップ プレイン」はさらなる進化を遂げ、高性能の人型ロボットがモデルのイリーナ・シェイク(Irina Shayk)の手を引き会場を一周して見せた。

「ディオール」2019年メンズ・プレ・フォール・コレクション

ディオール(DIOR)」2019年メンズ・プレ・フォール・コレクションは、1927年公開のSF映画「メトロポリス(Metropolis)」が着想源。レーザービームが眩い光を放つ会場では、現代芸術家・空山基が製作した高さ11mの女性型ロボット像がコレクションに華を添えた。

「コペルニ」2023-24年秋冬コレクション

アルノー・ヴァイヤン(Arnaud Vaillant)とセバスチャン・メイヤー(Sebastien Meyer)のデザイナーデュオが手掛ける「コペルニ(COPERNI)」は、2023-24年秋冬コレクションでボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)社による4足歩行の犬型ロボット“スポット(Spot)”を起用。正方形の会場に4匹(最終的には5匹)の“スポット”を放ち、自由に散歩させたほか、モデルがまとっていたブランケットを剥ぎ取らせるなどして物議を醸した。

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