「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、X(旧Twitter)やFacebook、Instagram、TikTok、そしてThreadsをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。73回目は、この連載で何度話したかわからない(!?)、イーロン・マスク(Elon Musk)体制で親しみにくくなるばかりな印象のXの話。
ソーシャルエディター浅野:今、Xに危機感を持っています。昨年8月に始まった収益化による影響の話です。この収益化は、フォロワー数、過去のインプレッション数(投稿が表示された回数)、有料サービスの利用条件を満たすと、広告収益を得られるというもの。特にこのインプレッション数は過去3カ月で500万とハードルが高いため、バズった投稿やトレンド入りした投稿などに中身のないコメントを返して便乗するインプレッション稼ぎが激増。“インプゾンビ”などと言われることもあります。さらに、インプや閲覧数(=収益)を増やすために過激な内容、誇張、悪質な虚偽の投稿も増えています。TwitterからXになってのさまざまな仕様変更は、基本ユーザーに対して有益な内容が評価するアルゴリズムに基づくものと捉えていましたが、収益化で真逆の作用が働き始めています。年始に起きた能登半島地震でも大きな災害に便乗した悪質なフェイク投稿が多く、ニュースなどが度々警告していました。質の悪い投稿が増え、さらにはフェイクも横行。正直今、Xから正しい情報を選び取るのは相当難しいように感じます。口コミや自然発生的なバズが魅力でしたが、これらの信憑性も危ういものとなっています。「とにかくバズらせろ!乗っかれ!」という悪意が渦巻いていますから。
こうした中、確かな情報を正しく伝えられるメディアや企業などのオフィシャルアカウントが頑張るべきかもしれない、とも考えています。
記者村上:個々のアカウントが頑張っても、プラットフォームの趨勢には及ばないかもしれないことを考えると、浅野さんの指摘はなかなかシビアな将来を想起させますね。
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