PROFILE: 奥山哲朗/常務取締役COO兼ドリームターミナルリンク社長
ブランド名を受託して企画・製造を行うOEMと海外ブランドのライセンス展開の2軸で事業を展開するのが、ドリームワークス(DREAMWORKS)だ。創業者の竹中章社長がモノ作りと経営の基盤をつくり、2011年に奥山哲朗常務取締役COOが入社して、営業活動とブランド事業を推進。「ユニバーサルオーバーオール(UNIVERSAL OVERALL)」や「ロバート・ピー・ミラー(ROBERT P. MILLER)」などを国内外で販売する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)
基幹の「ユニバーサルオーバーオール」が
創業100周年
WWDJAPAN(以下、WWD):強みは?
奥山哲朗常務取締役COO(以下、奥山):デニムのOEMだ。一般的に手間暇がかかる素材で、扱いづらいとされているが、私たちは中国のデニムを扱う8工場と提携し、ファッション性の高いデザインのものもできるし、少量生産も可能だ。デザイン性やトレンド感の高いアイテムの提案が得意で、クイックな生産が優位性になっている。それでいて、価格は抑えられていると自負している。年に4回OEMの展示会をして新作を提案し、クライアントのリクエストに応える商品を提供している。総合アパレルや、ウィメンズのセレクトショップなど主に30社と取引している。
WWD:ブランド事業では基幹の「ユニバーサルオーバーオール」で渋谷に直営店も運営している。
奥山:今年創業100周年を迎えるシカゴ発のユニホームメーカーで、16年にグローバルな販売権を取得。企画・生産・販売を弊社が行っている。程なくデニムのオーバーオールがヒットして認知度も上がり、19年に渋谷店をオープン。国内200カ所に卸しており、人気も安定してきている。ブランド事業ではこの他に「ロバート・ピー・ミラー」のアンダーウエア以外をライセンス展開している。特徴であるパネルリブを使ったカットソーなどを展開しており、買いやすい価格も手伝って、この2、3年で急成長している。この2つはセレクトショップからの別注も多く、ブランド事業部の売り上げの8割を占めている。昨年からはパンツで一世を風靡した仏「ピカデリー」もライセンス展開している。他にも、バッグブランドのアパレル作りを手伝ったり、スポットでアイテムを作ったりもしている。
WWD:23年はどんな年だったか?
奥山:2月の大幅な円安にがくぜんとしたが、デニムの当たり年だったので、デニムの売上高は前期比30%増と好調だった。秋くらいから為替を反映した価格で取引できるようになり、ほっとしたという状況だ。23年12月期の売上高は約20億円。シェアはOEM事業とブランド事業とでおよそ半々。円安のダメージをデニムと「ロバート・ピー・ミラー」の好調ぶりがカバーした形で、前年同様の売上高を維持した。
WWD:24年の計画は?
奥山:まず、「ユニバーサルオーバーオール」創業100周年の記念イベントを本国のオーナーも招いて3月に都内で業界向けに行う。グローバル契約を結んでおり、すでに香港、台湾、中国、韓国には卸を始めている。これを拡大していきたい。インドネシアやシンガポールにも1件ずつだが卸している。昨年、香港に販売を目的とした事務所を設けており、現地で展示会も行う。アジア、そして欧州へと販路を広げたい。6月のコペンハーゲン・インターナショナル・ファッション・フェア(CIFF)への出展も検討中だ。欧州進出の足掛かりにしたい。本国は作業着をサプライヤーに卸すのみで、小売りはしていない。ファッションアイテムに関しては米国も私たちが販売権を持っている。ゆくゆくは米国でも展開したい。
WWD:国内の直営店を増やす計画は?
奥山:状況を見ながら、関西にもう1店舗をオープンしたいと考えている。10月に阪神百貨店にポップアップを出店したところ、ウィメンズがよく売れた。「ユニバーサルオーバーオール」が国内で火がついたのはウィメンズだったが、現状はメンズの方が売り上げシェアが高い。関西の店舗はウィメンズの打ち出しを強めたい。もともと作業服のメーカーブランドなので、今後はその原点に立ち返るようなラインも企画する。ヘリテージのあるブランドであることを大事にし、定番の開発に力を入れる。特にデニムのラインアップを充実させる。本国にあったデッドストックを買い取っており、100周年に向けて、それらと、一部をシカゴの古着とリメイクの店「コーン レンジャー」に依頼して作ったリメイクアイテムを販売予定だ。
異業種とのコラボも積極的に行っていく。TOKIOと取り組んでおり、彼らが福島県西郷村で行っているプロジェクト「TOKIO-BA」にユニホームを提供する。また、1月26日から公開中の劇場版「機動戦士ガンダム」ともコラボしている。映画の中に出てくる制服のデザインをアレンジしたものやプリントTシャツなどを発売する。
WWD:中期の目標は?
奥山:2年後に年商30億円を目指している。そのためには海外卸の強化が必須だ。先日タイのバンコクを訪れたが、若者がオシャレで市場として勢いを感じた。活気があるアジアマーケットで本格的に売り上げをつくり、土台をつくる。SNS発信やPRも強化していくつもりだ。OEM事業は、人材を採用して3チーム体制にし、取引先の幅を広げる。品質管理を徹底しながら、価格を抑える努力をすることで、価値と競争力を上げながら拡大したい。
会社概要
ドリームワークス
DREAMWORKS
2006年3月に竹中章が設立。量販店向けのOEMからスタートし、その後セレクトショップや総合アパレル向けにシフト。繊維製品、衣料品及び雑貨の企画、製造、輸入、販売、卸売業を行う。「ユニバーサルオーバーオール」や「ロバート・ピー・ミラー」「ピカデリー」などをライセンス展開し、日本国内だけでなく、アジアへの卸も始めている。渋谷に「ユニバーサルオーバーオール」直営店も運営する
ドリームワークス
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