有力素材見本市の一つ「ミラノ・ウニカ」が現地時間の1月30日に開幕した。イタリア企業を中心に609社が出展し、2025年春夏シーズンに向けたテキスタイルや服飾資材をアピールする。
イタリアの繊維・ファッションの業界団体であるシステマ・モーダ・イタリア(SISTEMA MODA ITALIA、以下SMI)によると、23年度のイタリアのテキスタイル産業の売上高は前年比2.5%減だった。メーン市場である高級品市場と中国市場の減速が影響した。
24年も引き続き高級品市場と中国市場の失速が予想される中で、「ミラノ・ウニカ」が打ち出したのが、人工知能(AI)の活用だ。開幕直後に開催された基調講演では、有力な業界団体のトップや大臣がこれまでは業界動向などを語るのが通例だったが、全員がAIについてそれぞれの立場から語る異例の取り組みを行ったほか、、有力なAIのスタートアップ企業のトップや研究者を招いてセッションを行った。ミラノ・ウニカにとって重要なコンテンツであるトレンド発表にもAIを導入した。
有力テキスタイルメーカーのカノニコのトップで、ミラノ・ウニカの会長を務めるアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ(Alessandro Barberis Canonico)氏は、「人工知能は、国際的で複雑で絡み合ったサプライチェーンやビジネスモデルの解決をサポートする大きな手助けになる」と、その狙いを語った。
メイド・イン・イタリー&イタリア企業省のアドルフォ・ウルソ(Adolfo Urso)大臣は、「すでに繊維・ファッション業界は、人工知能を生産プロセスの効率化などにも導入しているが、イタリアの重視するクリエイティブな人材や才能の保護や発展にも生かせると考えている。政府としても積極的にバックアップする」と語った。