シャネル(CHANEL)はこのほど、ビューティ企業15社が所属するトレーサビリティコンソーシアム「持続可能な化粧品のためのトレーサビリティ連合(Traceability Alliance for Sustainable Cosmetics、以下TRASCE)」を結成した。ブランドやサプライヤーが同一のプラットフォーム上でサプライチェーンに関わる情報を共有することで、ビューティ業界のトレーサビリティ(透明性)向上を目指す。
化粧品メーカーからサプライヤーまで15社が参加
設立メンバーである参加企業はシャネルのほか、資生堂、クラランス グループ(GROUPE CLARINS)、パルファン・クリスチャン・ディオール(PAUFUMS CHRISTIAN DIOR)、エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)、ロクシタングループ(L'OCCITANE GROUP)、ロレアルグループ(L’OREAL GROUP)、ニュクス(NUXE)、シスレー(SISLEY)などの化粧品メーカーをはじめ、パッケージ製造企業のアルベア(ALBEA)、GPAグローバル(GPA GLOBAL)傘下のコスフィベルグループ(COSFIBEL GROUP)、ポシェットグループ(POCHET GROUP)、原料メーカーのメルク(MERCK)、ネイレ(NEYRET)、センシエントビューティー(SENSIENT BEAUTY)などのサプライヤーまで幅広い。またフランス化粧品・トイレタリー企業連合(LA FEDERATION DES ENTREPRISES DE LA BEAUTE)が公式スポンサーを務める。
参加企業は原材料などの原産地、加工の場所、供給・製造業者の名称などバリューチェーン全体の情報を、国際サプライヤーネットワーク大手ISNのデジタルプラットフォーム「トランスペアレンシー ワン(Transparency-One)」にマッピングする。プラットフォーム上で共有するデータの所有権、安全性、機密性は保証される。
設立の背景には、近年の気候危機、国際紛争、健康に対する懸念などによりサプライチェーンの問題が生じたことや、国内外の規制が厳しくなっていることが挙げられる。TRASCEは声明で、「サプライチェーンへの理解促進、社会的・環境的リスクの軽減、持続可能なビジネスモデルへの移行を支援することが不可欠となっている」と述べた。
シャネルが設立をけん引
シャネルは企業同士が協力することの重要性を訴える。同社で梱包や調達のイノベーション開発に携わるジュリアン・ギャリー(Julien Garry)=インターナショナル・ディレクターは、サプライチェーンのマッピング作業に数年間取り組んできたが限界を感じたという。「直接関わりがない遠方の取引先の協力を得るのは時にとても難しかった。そこでサプライチェーンをできるだけ広い範囲で素早く追跡するために、各社に協力してもらうことを提案した」と話す。
エスティ ローダー カンパニーズで責任ある原材料の調達を指揮するメーガン・ライアン(Meghan Ryan)=エグゼクティブ・ディレクターは、参加に際して「デジタルツールを共有して密に協力することで、人や環境への影響に注意を払い、責任ある調達により透明性を向上させる機会になる」とコメントした。
化粧品の顔料やピグメントを製造するドイツ企業メルクのカール・ヘンセン(Karl Hensen)=クオリティー・ディレクター・サーフェス・ソリューションズは、「TRASCEは真の資産だ。多様なブランドとサプライヤーが参画することでより強い力を持つ。業界全体で統一されたトレーサビリティツールを共有することの重要性を確信している。わが社のサステナビリティ戦略にも寄与し、他の業界のロールモデルにもなるだろう」とTRASCEの可能性を述べた。