PROFILE: 西田文彦/P&Gプレステージ「SK-Ⅱ」事業代表
主力商品の“フェイシャル トリートメント エッセンス”を中心に、世界中の女性から支持され続けるプレステージスキンケアブランド「SK-Ⅱ」を展開する。「秋田10年肌研究」をはじめとする同ブランドが誇る最先端の肌研究は進化を続け、2023年は第25回世界皮膚科学会で炎症老化にまつわる新知見を発表した。24年も進化の手を緩めず、スキンケアエキスパートとしてまだ見ぬエイジングケア領域を切り開く。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)
“ドント・ストップ・ザ・モメンタム”を合言葉に
“No.1”ブランドを目指す
WWDJAPAN(以下、WWD):2023年はどのような年だったか。
西田文彦「SK-Ⅱ」事業代表(以下、西田):一貫してプレステージスキンケアブランドとして“No.1”を意識した1年で、業績は非常に好調だった。21年から2年連続で新客2ケタ成長を実現している勢いを維持すべく、23年は“ドント・ストップ・ザ・モメンタム(勢いを止めない)”を合言葉に走り抜けた。ブランドの真骨頂である“フェイシャル トリートメント エッセンス”を柱とする多角的な施策が奏功し、さらに加速することができた。
WWD:具体的な要因は?
西田:特別な酵母を独自に発酵させた成分「ピテラ™」※1の優位性を丁寧に伝え続ける実直な姿勢が、お客さまの心に響いている。22年に開催したグローバルイベント「ワールド ピテラ™ デイ」を進化させ、23年は7月に「ワールド ピテラ™ マンス」として1カ月にわたる啓蒙キャンペーンを全国で実施した。その一環として東京・表参道でピテラ™の秘密を解き明かす五感体験型イベント「シークレットキーハウス」を2日間限定で開催し、多くの人に来場いただいた。ピテラ™の便益やサイエンスを再訴求することができ、新客のカウンターへの誘引にも寄与した。23年後半は「メゾン キツネ」とコラボレートした限定ホリデーコフレが大変好評だった。このように独自成分ピテラ™の魅力を発信する場を持つことや、思わず手に取ってしまう特別感のある商品を定期的に打ち出すことで、新客獲得のチャンスをまだまだ生み出せる手応えを感じている。
WD:2年ぶりの新商品発売も話題を呼んだ。
西田:これまでも世界最先端の皮膚科医と共同研究を重ねてきたが、23年はエイジング領域の新知見として炎症老化の引き金となる“エイジングの火種”※2を発表した。この新知見を基に開発したのが “スキンパワー アドバンスト クリーム”だ。発売4カ月で53※3のアワードを受賞するなど大きな反響をいただいている。また新商品の発売に伴い、全国のカウンターに設置する非接触型肌測定マシン「マジックスキャン」にも“エイジングの火種”※2を測定する最新機能を導入した。
WWD:ピテラ™の研究では新知見を発表し続けている。
西田:昨年は“肌調和研究”が進み、ピテラ™には乾燥やキメの乱れなどの肌悩みの要因となる肌の不調和を整える働きがあることを発表した。ピテラ™の無限の可能性を生かして商品開発や店頭カウンセリングにさらに磨きをかけられるのは当社の大きな強みだ。売り上げやランキングなど数値化される評価だけにとらわれず、スキンケアエキスパートブランドとして、R&D分野を含む価値ある情報と商品を届け、本当の意味で支持されるブランドを目指したい。とはいえ、他社と顧客を奪い合うつもりはない。当社独自の調査によると、「SK-Ⅱ」を含めて高価格帯プレステージスキンケアは世帯普及率(ある商品の100世帯あたりの保有数)がまだまだ低い。
つまりプレステージスキンケア商品に触れたことのない層がまだまだ多いということだ。伊勢丹新宿本店で「SK-Ⅱ」の最高級ライン“LPX”のポップアップショップを開催した際、予想をはるかに上回る新客に購入いただく一方で、「百貨店には頻繁に訪れ商品を購入するが、スキンケアは良いものに出合ったことがなく投資していなかった」という声も聞かれ、潜在的なニーズと購買力があるにもかかわらず、プレステージスキンケアとの接点がない人の多さを実感した。カテゴリー自体の普及率が低い中でシェアを奪い合うのではなく、カテゴリーの成長に貢献したい。潜在顧客とのタッチポイントを精力的に増やすことで、市場自体を活性化させることがわれわれの目指す“No.1”への近道だと信じている。
WWD:プレステージスキンケアを身近に感じてもらう施策は?
西田:オフラインでの体験と掛け合わせたSNSコンテンツの配信などだ。例えば肌測定マシン「マジックスキャン」の店頭体験動画や、ビューティ・インフルエンサー(美容部員、以下BI)との店頭からのライブ配信は反響が大きかった。「SK-Ⅱ」に興味がありながら百貨店のカウンターに行くハードルの高さを感じている層を取り込むには、オンラインで手軽に閲覧できるコンテンツを入り口として、魅力的な店頭体験を伝える必要がある。また数年前に発足した、全国の卓越した接客力を持つBIを集結させた選抜チームを派遣するポップアップのメガイベントも強化する。
WWD:24年に注力することは?
西田:ピテラ™の魅力をより幅広く発信する大型キャンペーンや、商品面での新たなイノベーションを控えている。店頭においては“共感型接客”をテーマにソフト面(BI)とハード面(肌測定マシン)の進化に磨きをかけていく。商品とカウンセリングの双方でイノベーションを起こし、スキンケアエキスパートとしてさらなる高みを目指す。
※2 ハリの低下や乾燥による小じわ、キメの乱れ、毛穴の目立ちを引き起こす乾燥状態
※3 2023年12月31日時点での雑誌・ウェブ等のメディア・SNSにおけるビューティアワード相当賞受賞総数
会社概要
エスケーツー
SK-II
1980年に、日本酒の酒造所の杜氏の手肌の美しさにヒントを得て、特別な酵母の発酵がもたらす唯一無二の成分「ピテラ™」(※1)を配合したスキンケア商品“フェイシャル トリートメント エッセンス”が誕生したのが「SK-Ⅱ」ブランドの始まり。1991年にマックスファクター傘下からプロクター・アンド・ギャンブル傘下に移った。その後、「SK-Ⅱ」商品の海外への販売を開始し、2016年8月に社名をP&Gプレステージ合同会社に変更した。現在、世界12の国と地域で展開する
「SK-Ⅱ」お客さま相談室
0120-021325