PROFILE: 藤田智美/msh社長
主力アイメイクブランド「ラブ・ライナー(LOVE LINER)」が2023年に15周年を迎えたmshは、藤田智美社長が就任した20年から売上高は順調に伸長する。23年は同ブランドと「ポケモン」のコラボ商品完売や、ニューヨーク発スキンケアブランド「スーパーエッグ(SUPEREGG)」の日本展開スタートなどニュースも続いた。24年は海外進出にも野心的に取り組む。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)
真面目なモノ作りを続け、
日本のビューティ業界を盛り上げて世界へ
WWDJAPAN(以下、WWD):23年は「ラブ・ライナー」が話題を呼んだ年だった。
藤田智美社長(以下、藤田):全社の売上高は2年連続前年比15%増で成長を続けている。売り上げをけん引する「ラブ・ライナー」が15周年を迎え、シリーズ累計2200万本を突破(08年9月~23年5月末のシリーズ出荷実績)し、mshのマイルストーンとしても意義深い年だった。また、7月の「ポケモン」とのコラボレーションは2カ月足らずで23万本が完売するという驚きの結果となった。21年のリニューアルでリフィル対応になったことで、顧客が気に入った限定パッケージのまま中身を入れ替えられることも人気の後押しになったと分析する。ヘアメイクアップアーティストの河北裕介氏や、「ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)」ともタッグを組み、好調だった。今後もファッションブランドや異業種と積極的に協業し、「ラブ・ライナー」のプレゼンスを高めていく。
WWD:日本のアイメイク市場をどのように分析するか。
藤田:各社、真面目にモノ作りをしていても、海外ブランドと競争力で負けてしまうことがある。特に韓国コスメの勢いが増しているが、負けずに日本のビューティ業界を盛り上げていきたい。「ラブ・ライナー」のアイライナーは職人が筆を作っており、まつ毛美容液もこだわりの設計だ。海外の人にも刺さる商品開発をしているので、世界に目を向けてプロモーションを行う。
WWD:ほかの好調ブランドは?
藤田:ベースメイクとスキンケアを展開するミネラルコスメブランド「タイムシークレット」も売り上げは好調で、「ラブ・ライナー」と同じく前年比10%増だった。
WWD:日本上陸した「スーパーエッグ」の立ち上がりはどうか。
藤田:発売してから半年以上経過して、ファッション系セレクトショップなど新たな販路にも挑戦し、知見がたまってきた。日本での認知獲得までに時間はかかるが、今年からさらに成長させていきたい。特に価格と効果のバランスが良い集中保湿美容液は日本市場で戦えるという自信がある。
WWD:今後も海外ブランドの輸入代理業務を拡大するのか。
藤田:日本にはないような発想で、市場にもマッチしているものがあれば積極的に取り入れる。世界各国にネットワークを構築中で、仲間ができれば弊社のブランドの海外進出の足がかりにもなる。15年かけて成長した「ラブ・ライナー」のような商品開発の時間軸は、スピード感が勝負の現在ではなかなか難しい。既存のブランドと並行して、海外ブランドを日本市場で育てて拡大させていく。前職ではMDをしたり新業態を始めたりと幅広い経験とノウハウを蓄積できた。それを生かしながら化粧品に限らず、雑貨や食品にもカテゴリーを広げていきたい。
WWD:SNSマーケティングではどのような成果が生まれているか。
藤田:従来からの得意領域だ。毎月100人規模でインフルエンサーを起用している。特に頻度が高いここ1年は、エンゲージメントの高い投稿や施策が蓄積できている。AIにバズを生む投稿を学習させて検証する仕組みも進めており、属人的な仕組みから少しでも業務効率を改善していきたい。オーガニック投稿では八田エミリさんが「タイムシークレット」の“スティックファンデーション”を紹介した動画が400万回以上再生された。突然、売れ行きに異常値が出て調べて発覚した。さまざまな要因があるので完璧に需要を予測することは難しいが、少しずつチャレンジしていきたい。
WWD:サステナビリティの具体的施策は?
藤田:「ラブ・ライナー」のリフィルは外装を小さくしたり、パッケージもFSC認証を取得した紙に変更したりするなど環境負荷を軽減する取り組みを続けている。22年3月〜23年11月はリフィルにより15トンのごみが削減(同社調べ)できた。売り上げも想定以上に伸び、リニューアルの目的も果たせている。「タイムシークレット(TIME SECRET)」もリフィル対応にし、リサイクルペットボトルを使った容器に変更した。このような取り組みは若年層や欧米の人たちにも受け入れられるだろう。小さなことから対応して環境を軸にしたハッピーを循環させたい。
WWD:24年、ビジネスで注力することは?
藤田:「ラブ・ライナー」の海外進出のため、まずは欧米展開の準備を進める。また、愛用者を増やしながらマスカラなどアイライナー以外のアイテムも育てる。コロナ禍でも成長できたのは、前職では競合関係だったバイヤーの知人や流通先が協力してくれたことや、多くのお客さまに支持してもらったおかげだ。今後も期待に応えられるような商品やブランドを発売し、売上高は2ケタ成長を続けていく。
※炭酸水素Na
会社概要
エムエスエイチ
msh
2008年にアイメイクブランド「ラブ・ライナー」を立ち上げ、化粧品や雑貨の企画・販売、輸出入、海外ブランドの輸入代理を手掛ける。ミネラルコスメブランド「タイムシークレット」やニューヨーク発のスキンケアブランド「スーパーエッグ」など、現在7ブランドを展開。社名は「make someone happy(いつも誰かをハッピーに)」の頭文字から取り、幸せが循環する社会の実現を目指す
msh
0120-131-370