アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。「ファミマ」の3990円のスエットがXのある投稿をきっかけに、賛否両論を巻き起こした。驚いたのは、意外にもその投稿に批判的なファッション関係者たちが多かったことだ。伊藤忠商事がサポートする生産背景は強力で、確かに品質は良いだろう。コスパも最高だ。だが、本質はそこだろうか?少なくともスニーカーはそうじゃない。というわけで、今回はモノの価値の話。(この記事は「WWDJAPAN」2024年2月5日号からの抜粋です)
――先月、ファッション関係者らしき人物のXの投稿が炎上しました。「これは本当に心から思うんですが、コンビニエンスウェアで3990円のスウェットを買うなら33000円で生地の良いスウェットを買ったほうが安いと思う。これが分からない人にはどれだけ言葉を尽くしてもきっと何も分かってもらえない。(原文ママ、投稿は削除済み)」という内容を見たときにすぐにスニーカーが思い浮かんで、確かに「無印良品」の2990円のスニーカーを買うより2万6950円の“AJ1”を買った方が“安い”よなと共感できたんですけど、この投稿のミスリードは、定価が高いからといって生地や品質が良いとは限らないことですね。
本明秀文(以下、本明):高い安いじゃなくて、2次マーケットを意識して買うのが今の若者の買い方でしょ。それが今の価値観。3万円のスニーカーでも、セールで叩き売りされているようなものは誰も欲しがらないし、たとえ2990円でも希少価値があれば欲しい人はたくさんいると思う。
――とはいえ、安くていいものの方が良いという人の方が相対的には多いと思います。
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