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特集 CEO2024 ビューティ編

【プレミアアンチエイジング 松浦清社長】構造的な改革を推進し、新たな成長分野を開拓

PROFILE: 松浦清/プレミアアンチエイジング社長

松浦清/プレミアアンチエイジング社長
PROFILE: (まつうら・きよし)慶應義塾大学経済学部卒業、コロンビア大学経営大学院でMBAを取得。外資系金融機関、戦略系コンサルティング会社を経て、伊ラグジュアリーブランド、米オンラインジュエリーブランドの日本法人、上場投資会社の社長を歴任。2009年12月にプレミアアンチエイジングを設立、化粧品開発販売事業を開始。20年東証マザーズ上場、現在に至る PHOTO:SHUNICHI ODA

相次ぐ新ブランド発表や新領域参入など攻めの姿勢で変革を続けているプレミアアンチエイジング。23年は中期経営計画「2024 -2027+Beyond」を策定し「Forever vivid 人の時間(とき)を、解き放つ。」を新たなスローガンとして制定した。創業時から一貫する「Uniqueな価値」から生まれる商品やサービスを通して、年齢に関係なく誰もがいつでも輝き新たなことにチャレンジできるという持続可能な社会の実現を目指す。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

アンチエイジング分野の
リーディングカンパニーへ

WWDJAPAN(以下、WWD):2023年は引き続き事業領域拡大や新ブランドを相次いで投入するなど躍進の年となった。

松浦清社長(以下、松浦):アンチエイジング分野のリーディングカンパニーとして、スキンケア事業とヘアケア事業に加え、23年1月からインナーケア事業への参入や、ベネクスがグループ入りし、リカバリー事業も展開。ベネクスのリカバリーウエアは、生活する上でのパフォーマンス向上に必要な“休養”に着目し、独自開発の特殊繊維で作られた休養時専用ウエア。トップアスリートをはじめ多くの著名人が愛用するなどリカバリー市場の開拓をけん引している。リカバリー事業領域への参入により、当社の目指す「Uniqueな価値」を提供する企業として事業成長の加速を実現することが狙いだ。ベネクスはもともと良質な商品を作っていたが、グループ入りによって、ファッション性や着心地の良さ、生地やデザインなどの改良を進めている。マーケティングが得意な当社とタッグを組むことで、アンチエイジング関連サービスのクロスセル促進やブランド力の強化、会員基盤の拡大などさまざまなシナジーが期待できる。リカバリー市場は30年に14兆1000億円規模になると予想され、中でも衣服の成長は大きな伸びが予測される。今後さらに旬な分野になると見込んでおり、市場リーダーとしての拡大を目指す。

WWD:主力ブランドの「デュオ(DUO)」は4年連続クレンジング市場売り上げNo.1(※1)を獲得した。

松浦:これは、すでに「デュオ」がお客さまに浸透・定着し、高い支持を頂いているからと受け止めている。こうした中、あらためて原点に立ち返り、お客さまにとって「ベストなクレンジング」でありたいと23年11月に「DUO YOUR BEST」というブランドメッセージと共に、新たにブランドアンバサダーとして、ご自身も「デュオ」の愛用者である新木優子さんを起用した。また、これまで「デュオ」のデジタル施策は認知度を上げるための展開が中心だったが、現在はブランドや商品価値を訴求する、従来とは異なるステージのマーケティングに舵を切っている。具体的には、実際に愛用して頂いている美容家やインフルエンサーに出演してもらい、美容感度の高い人たちに評価されている商品であることを発信している。

WWD:22年発売のヘアケアブランド「クレイエンス(CLAYENCE)」の状況は?

松浦:発売から1年にも関わらず、“クレイスパ カラートリートメント”がヘアカラートリートメントブランド別売り上げランキングNo.1(※2)を獲得。若年層の白髪悩みという新しいニーズに着目したカテゴリーのため、顧客の幅は広がった。また、当社の他ブランドとのクロスセルも可能な点が大きい。「クレイエンス」は「カナデル(CANADEL)」とターゲット世代が重なり、合わせ買いを促しやすい。そのほか、23年はインナーケアブランド「シントー(SINTO)」「エックス(X)」で機能志向食品市場に参入。また、23年8月には高濃度に特化したビタミンCのスキンケアブランド「シーマニア(C+MANIA)」をローンチした。いずれも育成ブランド群としてテストマーケティングを実施中だが、初動の良いスタートをきれている。

WWD:会社を象徴する数字について。

松浦:当社は昨年、27年までの成長戦略「中期経営計画 2024 -2027+Beyond」を発表。「Uniqueな価値にこだわりぬく。再び成長軌道へ」を掲げ、継続的な成長を果たすため成長の源泉となってきた「Uniqueな価値」に改めてこだわり抜くことが重要になる。24年は中期経営計画達成に向けた1年目となること、改めて原点に立ち返るスタートになること、そして「デュオ」は5年連続クレンジング売り上げNo.1を目指すことから、「1」を象徴とする数字にしたい。

WWD:「1」に向けた、24年の施策について。

松浦:24年は前期から引き続き構造的な改革に注力し、来期がスタートする8月からの再成長に結びつけていく。その要である一つが、全体売り上げの約65%を占める当社の柱である「デュオ」の存在。クレンジングバーム市場のパイオニアとしてブランド価値を再強化してポジションを固めると共に、市場そのものの成長をけん引する高付加価値の新商品開発を進める。また海外展開に今一度注力し、国内インバウンド市場との連動が期待される中国・台湾の中華圏と、シンガポールを代表する東南アジアにフォーカスする。中でも上海に現地法人を立ち上げた中国市場での売上拡大を目指し、今期中に新たな動きを発表できるよう、準備を進めている。そして引き続き、リカバリーウエア市場のようなアンチエイジングの新たな成長分野を開拓するためのM&Aにも力を入れていきたい。

※1 TPCマーケティングリサーチ㈱によるクレンジングブランド別シェアランキング調査 対象期間:2019年4月〜2023年3月/調査時期:2023年6月調べ
※2 「ヘアカラートリートメントに関する調査」(ブランド別売上)TPCマーケティングリサーチ㈱ 対象期間:2022年7〜12月 調査期間:2023年3月調べ

会社概要

プレミアアンチエイジング
PREMIER ANTI-AGING

2009年12月設立。肌が本来持つ自己回復に着目した「デュオ」をはじめ、高機能エイジングケアブランド「カナデル」、クレイスパ発想のヘアケア「クレイエンス」、メンズスキンケア「デュオ メン」など8ブランドを展開している。23年9月には中期経営計画「2024-2027+Beyond」策定し、新たなスローガンや新コーポレートロゴを制定した

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TEXT:WAKANA NAKADE