PROFILE: 由羽弘明/コネクトインターナショナル社長
コネクトインターナショナルは、著名なタレントやインフルエンサー、キャラクターのIP(知的財産)を生かしたD2Cブランドの運営、オンデマンド・カスタマイズサービスの提供と、独自性のあるビジネスで存在感を示す。設立10周年を迎えた2023年は電通との新規事業「グッズラック」や新ブランドを始動。IPとファッション、テクノロジーの掛け合わせで独自価値を追求する。
ネトフリ「ワンピース」コラボで
IPの魅力を世界に届ける
WWDJAPAN(以下、WWD):これから掲げていく方針は?
由羽弘明社長(以下、由羽):事業はブランド、グッズ、カスタマイズが3つの柱。これらに通底する提供価値である「IP×ファッション×テクノロジー」の掛け算で、業界トップを目指していく。ブランド事業における弊社の強みは、IPの魅力を最大限に表現するマーケティングや商品企画を幅広く提案できること。取り扱うIPのファンコミュニティーによって、価格帯やアイテムで細かくターゲティングしなければならないのがこのビジネスの難しさ。IPのファンの嗜好をよく分析し、企画の的中率、お客さまの満足度を上げていきたい。
WWD:ブランド事業について。
由羽:俳優の新田真剣佑さんがプロデュースする「インクリム」と、世界規模で大きな話題になったネットフリックス制作による実写ドラマ「ワンピース」のコラボレーションが大きなトピックだ。2年前から温めてきた企画で、ついにこの2月に発売することができる。新田さんはロロノア・ゾロ役として作品に出演し、世界でファンを増やした。インスタグラムのフォロワー数が600万近い、今や日本トップクラスのインフルエンサーだ。「ワンピース」自体も世界累計発行部数が5億冊を超える、単一作者のマンガとしてはギネス世界記録を更新する作品。多くのファンを抱えるIPの掛け合わせで、国内のみならず、海外のファンにも響くはずだ。
WWD:ブランド運営で大切にしていることは。
由羽:付加価値やストーリー性だ。「インクリム」×「ワンピース」では、登場キャラクターをイメージしたモチーフ入りのTシャツや、劇中で新田さんが着用したピアスを再現したジュエリーなどデザイン性にこだわりながら、普段使いができるような工夫を凝らした。新田さんは作中でゾロのスタイルに忠実に、3連ピアスを着用するためにピアス穴を3つ開けたが、商品ではイヤカフになっており手軽に着けることができる。バーニーズ ジャパンや「アトモス」「GQ JAPAN」とのコラボレーションも決まっている。「アトモス」コラボはフィリピンやタイなど東南アジアでも取り扱われる予定だ。ファッション軸での感度の高い協業施策で、ファンの方たちに喜んでもらえるアイテムを届けたい。「インクリム」は、時代の新しい要素を取り入れるブランドにしていきたいと考えており、海の環境問題に関するSDGsの発信にも取り組む。海洋ごみ問題に対応するためのプラットフォーム「一般社団法人アライアンス・フォー・ザ・ブルー」と連携し、廃漁網をアップサイクルしたコースターをノベルティとして配布予定だ。
WWD:“ヒト消費”や“コミュニティー消費”の潮流に変化はあるか?
由羽:今後はより強まっていくと考えている。タレントの辻希美がプロデュースするアパレルブランド「アンジュシャルム」では23年12月に、「ファッションセンターしまむら」とコラボレーションし、「アンジュシャルムトゥールモンド」をスタートさせた。“トゥールモンド”とはフランス語で“みんな”を意味する言葉で、「アンジュシャルム」の世界観のアイテムを、ウィメンズからキッズまで幅広く、手頃な価格で届けられるブランドにする。「ファッションセンターしまむら」は辻さんのファン層にも親和性が高く、個人的にも期待値は大きい。
WWD:新ブランドの進捗、今後の立ち上げ計画は?
由羽:昨年5月にはヒップホップアーティストのオズワールド(OZworld)を起用した新ブランド「ヴォイス」を立ち上げた。オズワールドさんはNFTやAIなど、新たなテクノロジーに興味があるため、フィジカルとデジタルを掛け合わせた“フィジタル”のジュエリーブランドとして、新たなデジタル施策を仕掛けている。ローンチパーティーも1000人以上が集まり大盛況だった。ブランドを闇雲に増やす計画はない。既存の6ブランドのIPの世界観や付加価値を最大化することを、当面は優先したい。
WWD:新規事業は?
由羽:電通との共同事業で、新たなグッズ販売のECプラットフォーム「グッズラック」を昨年5月にローンチした。人気IPのファングッズを、注文を受けてからオンデマンド生産するため、在庫リスクなしで運営できる。またメインキャラのみならずマイナーキャラの絵柄も使い、劇中に登場する名シーンもデザインとして選ぶことができる、その網羅性とカスタマイズ性が強みだ。Tシャツやパーカ、トートバッグ、アクリルスタンドなど、さまざまな形でファングッズを届けられる。これまでにTVアニメ「ウルトラマン」や「東京リベンジャーズ」、サッカーゲームの「イナズマイレブン」などの企画を実現した。IPのファンの方々からも「こんなのが欲しかった」とX(旧ツイッター)で反響をいただいている。今後も新たに人気IPのラインアップを増やしていき、幅広いファングッズを提供できる見通し。テクノロジーを駆使したオンデマンド製造やカスタマイズが生み出す商品企画の醍醐味を、より多くの人々に体験していただきたい。
会社概要
コネクトインターナショナル
KONNEKT INTERNATIONAL
2013年設立。海外ブランド代理店事業、OEM 事業を柱としてスタートし、2015年には米アーティストのライセンスアパレルの製造、販売を開始。17年より、英YRStoreInc.とジョイントベンチャーでユアジャパンを設立、カスタマイズ事業を始めた。その後、香港、韓国、中国にも当事業の関連会社を設立。18年にD2Cブランド事業を始動。現在は辻希美プロデュースの「アンジュシャルム」や新田真剣佑の「インクリム」、AAAの宇野実彩子の「ラバンダ」など6ブランドを運営する
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