ワコールホールディングス(HD)の2023年4〜12月期連結決算(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比1.7%減の1414億円、営業損益が19億円の赤字(前年同期は18億円の赤字)、純損益が39億円の赤字(同22億円の赤字)だった。赤字は4〜9月期に計上した米国事業における減損損失に伴うもの。10〜12月期も秋冬商戦で苦戦し、販売は計画を大きく下回った。
国内ワコール事業の売上収益は同2.8%減の725億円、営業損益は30億円の黒字(前期は50億円の黒字)だった。高価格帯の「ユエ(YUE)」「サルート(SALUTE)」および、メンズインナーは堅調に推移したが、百貨店や量販店中心の「ワコール(WACOAL)」「ウイング(WING)」、低価格帯の直営店ブランド「アンフィ(AMPHI)」も低迷した。
海外ワコールは、売上収益が同1.0%増の503億円、営業損益が53億円の赤字(同80億円の赤字)だった。米国市場では復調が見られた一方で、英国をはじめとする欧州や中国が苦戦した。「ライブリー(LIVELY)」ブランドを運営するインティメイツ・オンライン(IO)社の事業撤退・清算に伴うワコールインターナショナル(米国)の減損損失など74億円を計上した。
ピーチ・ジョン事業の売上収益は同10.9%減の80億円、営業損益が5000万円の赤字(同8億9600万円の黒字)に転落した。著名タレントとのコラボレーションにより新規獲得を目指したが、想定以下の結果となった。減収に加えて、中国子会社の清算に伴う為替差損が影響した。
ワコールHDは昨年11月、24年3月期連結業績予想を下方修正している。売上高は1960億円(修正前は2050億円)、営業損益は120億円の赤字(同60億円の黒字)に変更はないが、下振れする可能性もあるという。サプライチェーンの見直し、ブランド集約や赤字店舗の撤退に着手した。来期には福岡と札幌の事業所の閉鎖が予定されている。