アーティストの草野絵美による作品で、「WWDJAPAN」2023年6月11日号の表紙を飾ったAIアートからインスパイアされたARドレスが公開された。デジタルファッションプラットフォーム「ドロップ(DRAUP)」が、草野との協業で制作。“グリッチド・リフレクション(Glitched Reflection)”と名付けられた同ARドレスは、草野がAIで生成した、ガラスプレートを何枚も重ねたフューチャリスティックなコスチュームをベースに、キラキラと反射する光をまとうようなデザインになっている。人間がAIで生成した非現実のコスチュームが、AR化されることで人がまとえるものになった。
草野は昨年ニューヨークで開催された「グッチ」とクリスティーズによるNFTオークションに作品を出品した際に、同じく出品者だったダニ・ロフタス=ドロップ代表に出会い、親交を深め、同氏のビジョンやファッションとテクノロジーをつなげる情熱に刺激を受けたという。そして今回のコラボレーションが実現した。
自らの作品が着想源となったARドレスについて、「デジタルならではの光の反射や屈折によって絶えず変わるビジュアルがとてもキレイ。自分が着たかった服が目の前に現れたようで、うれしさがこみ上げてきた」と草野。「グリッチ(デジタル画像や動画の意図的な歪みやエラー風の効果を使ったアートのスタイルを意味する)を含んだガラスが示す儚さとデジタルデータの対比によって、物質のもろさとデジタルの不朽というテーマを映し出している」と解説する。
同ドレスは、AR試着アプリ「ZERO10」に自身の全身画像をアップロードすることで試着可能。さらに、東京都現代美術館で開催中の「MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ」展の関連事業「MOTアニュアル エクストラ」でも着用した様子の動画が展示されている。「性別を問わず楽しめるシルエットだ。多くの人に楽しんでほしい」。展示は3月3日まで。