トッズ・グループ(TOD’S GROUP以下、トッズ)は、株式の非公開化を進める方針を明らかにした。ディエゴ・デッラ・ヴァッレ(Diego Della Valle)会長兼最高経営責任者(CEO)ら創業家との合意に基づき、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)系の投資会社Lキャタルトン(L CATTERTON)は、保有するプライベートファンドが設立した新会社クラウン・ビッドコー(CROWN BIDCO)を通じてトッズの株式の公開買付を実施する。
買付価格は1株あたり43ユーロ(約6880円)で、本件を発表した前日の終値と比べて17.6%のプレミアムとなっている。クラウン・ビッドコーはおよそ1300万株の買付を目指し、総額は5億5900万ユーロ(約894億円)。これにより、デッラ・ヴァッレ一族は引き続き筆頭株主として株式の54%を、クラウン・ビッドコーは36%を保有することとなる。残り10%は、現在の少数株主であるLVMHの完全子会社デルフィーヌS.A.S.(DELPHINE S.A.S.)が保有し続ける。
トッズはミラノ証券取引所に上場しているが、非公開化が規制当局などによって承認されなかった場合、合併を検討する可能性もあるという。非公開化が実現すれば、四半期ごとに決算を発表する必要がなくなるため、傘下ブランドへの投資といった中長期的な戦略を一般株主や市場の評価を気にすることなく行うことができる。同社は、声明文の中で、「非公開化は当社の将来的な成長計画や統合を確実に実行するための前提条件」とし、「より柔軟性の高い組織で、より迅速に意思決定をして行動に移すことができるようになる」とコメントしている。なお、同社は2022年にも非公開化を試みているが、その際は株式の90%以上を取得という条件を満たせなかったため実現しなかった。
市場は非公開化の動きを好感し、本件発表の翌営業日、トッズの株価は前日比18.3%高の43.04ユーロ(約6886円)を付けた。