ファッション
特集 全国各地の名物セレクトショップ 第16回 / 全19回

機屋や縫製士にスポットライトを 服を「読みとる」彗眼の店主【岡山・カサノヴァアンドコー】

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PROFILE: 福田暁彦/ディレクター(右)

福田暁彦/ディレクター(右)
PROFILE: (ふくだ・あつひこ)鳥取県出身。大学を4年生の卒業間際で中退後、服への思いが忘れられず、大阪のアメリカ村のジーンズショップでアルバイトを開始。その後夜間の服飾専門学校へ通い、卒業後は岡山のデニム縫製工場で働き始める。山本雄太代表(左)が立ち上げたイェージに2016年に入社し、「カサノヴァアンドコー」のディレクターとして、バイイングや企画など全てをマネジメントする。品質表示タグに縫製士名を記載する「山内」の洋服が原点であり、初めて仕入れたブランドでもある

岡山/CASANOVA&CO

ここには機屋や縫製士の名前を知るような、目の肥えた顧客が訪れる。2006年にオープンした「カサノヴァアンドコー」は、被服文化を発信する店作りで、全国各地にファンを増やし続けている。取り扱いブランドには、「グラフペーパー」や「コモリ」「イレニサ」など、服好きに広く知られるものもあるが、一般客から見れば “知る人ぞ知る”ブランドが圧倒的な数を占める。福田暁彦ディレクターが、機屋や縫製士にも光を当てようと志すブランドを選んでいるためだ。「服作りって影武者だらけなんですよ」。(この記事は「WWDJAPAN」2024年2月12日号からの抜粋を加筆・修正したものです)

洋服の教養を通じて作り手に思いを馳せる

「実際に服を作れる販売員になりたかった」という福田ディレクターは、元縫製士の経歴を持つ。以前、大阪のアメリカ村のジーンズショップで勤務したころに、「洋服のスペックを語れても、作れないのであれば真に理解しているとは言えない」とジレンマを抱き、夜間の服飾専門学校に入学を決意した。卒業後は岡山県のデニム縫製工場に就職したものの、そこで見たのは、海外ベースの低賃金で長時間労働する職人の姿。「10年以上修業して初めて一人前になれる世界。合理主義が蔓延する現代では、そのような技術は衰退してしまう」。

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