PROFILE: 福田暁彦/ディレクター(右)
岡山/CASANOVA&CO
ここには機屋や縫製士の名前を知るような、目の肥えた顧客が訪れる。2006年にオープンした「カサノヴァアンドコー」は、被服文化を発信する店作りで、全国各地にファンを増やし続けている。取り扱いブランドには、「グラフペーパー」や「コモリ」「イレニサ」など、服好きに広く知られるものもあるが、一般客から見れば “知る人ぞ知る”ブランドが圧倒的な数を占める。福田暁彦ディレクターが、機屋や縫製士にも光を当てようと志すブランドを選んでいるためだ。「服作りって影武者だらけなんですよ」。(この記事は「WWDJAPAN」2024年2月12日号からの抜粋を加筆・修正したものです)
洋服の教養を通じて作り手に思いを馳せる
「実際に服を作れる販売員になりたかった」という福田ディレクターは、元縫製士の経歴を持つ。以前、大阪のアメリカ村のジーンズショップで勤務したころに、「洋服のスペックを語れても、作れないのであれば真に理解しているとは言えない」とジレンマを抱き、夜間の服飾専門学校に入学を決意した。卒業後は岡山県のデニム縫製工場に就職したものの、そこで見たのは、海外ベースの低賃金で長時間労働する職人の姿。「10年以上修業して初めて一人前になれる世界。合理主義が蔓延する現代では、そのような技術は衰退してしまう」。
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