ロレアルグループ(L’OREAL GROUP)はこのほど、グループ傘下の中国における投資会社である上海美次方投資(SHANGHAI MEICIFANG INVESTMENT)を通じて中国の高級フレグランスブランド「トゥー サマー(TO SUMMER、観夏)」の少数株式を取得したと発表した。同ブランドは2018年に設立。中国の伝統文化に根ざした革新的でモダンな世界観で知られる。香水のほかホームフレグランスやボディーケア商品を展開し、北京、上海、杭州、南京、成都、無錫に11店舗を構える。
ロレアルのファブリス・メガルバン(Fabrice Megarbane)=チーフ・グローバル・グロース・オフィサーは、「当社にとって北アジアで最も重要な投資の一つだ。中国の消費者は世界で最も要求が高く、洗練された消費者の一人であり、よりパーソナライズされた美の体験を求める彼らの欲求が急成長するフレグランス市場をけん引している。『トゥー サマー』の美と感情を結びつけるフレグランスを通じて、中国の芸術と文化を世界の消費者に伝え、東洋の香りと香水原料を国際的なステージに引き上げる」と語った。
「トゥー サマー」のリー・シェン(Li Shen)創設者は、「リサーチ&イノベーションにおいて豊富な経験を持つロレアルと共に東洋発の香水を発展させることを望む。中国の伝統的なクラフツマンシップや歴史の遺産を復活させ、包括的でモダンでありながら東洋の優雅さとイマジネーションに満ちたフレグランスを世界に届けたい」と述べた。
中国の国産フレグランス市場が急成長
ロレアルは22年にも中国のZ世代をターゲットにした高級フレグランスブランド「ドキュメンツ(DOCUMENTS、聞献)」の少数株式を取得。中国市場で初の投資を行った。同ブランドは1月、中国の高級美容・小売り大手ユーショッパル(USHOPAL)などから数百万ドル規模の資金調達を実施している。エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)も昨年12月、「トゥー サマー」の競合にあたるフレグランスブランド「メルト シーズン(MELT SEASON)」の少数株式を取得している。
中国のフレグランス市場はメイクアップやスキンケアと比べるとまだ小さいが、消費者にとっては比較的新しく魅力的な商品カテゴリーであり、ビジネス視点ではブルーオーシャンとなっている。中国の国産フレグランス市場は過熱しており、業界関係者は香水の次のフロンティアは中国であるとみている。市場調査会社のミンテル(MINTEL)は、中国のフレグランス市場の年平均成長率を17%、売上高は25年までに154億4000万人民元(約3088億円)に達すると予測している。中国の国産フレグランスの主要プレーヤーは「セント ライブラリー(SCENT LIBRARY)」「ボイタウン(BOITOWN)」「セントズー(SCENTZOO)」などがある。