ワークマンは、今春から本格化する子供服と肌着で野心的な売上目標を立てる。子供服は新業態「ワークマンキッズ(WORKMAN KIDS)」を今春「#ワークマン女子」の6店舗の中に併設するのを皮切りに、将来は売上高200億円をねらう。肌着は旭化成と共同開発した吸放湿商品を投入するなど、機能性と価格競争力によって5年後に売上高500億円を目指す。子供服の本格化で手薄だったファミリー層を呼び込むとともに、肌着によって来店頻度を高める。
夏用肌着でユニクロの“エアリズム”に対抗
18日に東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された2024年春夏新製品発表会で、土屋哲雄専務が新商品や出店の事業戦略を説明した。
子供服の「ワークマンキッズ」は撥水性、接触冷感、パッカブル、UVカットなど同社らしい機能性が特徴。大人用のヒット商品をリサイズすることで、親子でペアルックができる。「#ワークマン女子」の中心層である40代の子育て世代に狙いを定める。土屋専務は「高い機能性と圧倒的な低価格。これが可能なのは当社だけ」と胸を張った。
肌着の目玉は、旭化成アドバンスと共同開発した“シン・呼吸するインナー”。旭化成のキュプラを用いて、夏に吸放湿性をアピールする。キャミソールやタンクトップで780円。土屋専務は「最大手の夏用の肌着が1290円なので、2マークほどの価格差がある。国内の肌着市場で5%のシェア(500億円)を取るポテンシャルがある」と話す。“シン・呼吸するインナー”は、全店(1007店舗)で取り扱い、初年度で女性用30万枚、男性用15万枚の販売を見込む。
春以降、既存店の肌着の専用コーナーを広げる。毎日着用する下着は消耗品であり、定期的な買い替え需要が派生する。下着の拡充によって来店頻度を高める。
「#ワークマン女子」の路面店で出店攻勢
土屋専務は今後の出店計画につても述べた。
22日には同社最大となる売り場面積726平方メートルの旗艦店「#ワークマン女子」イオンモール沖縄ライカム店(沖縄県中頭郡北中城村)を開く。将来の海外出店を見通した“東アジア旗艦店”の位置付けで、多くの訪日客の来店を見込む。「沖縄の気候は台湾とほぼ同じ。この店を通じてワークマンの海外のお客さまを増やしたい」という。「ワークマンキッズ」も同店を皮切りに全国へ広げる。
「#ワークマン女子」は路面立地で出店攻勢をかける。20年10月の出店開始から現時点では56店舗を数えるが、今年9月から25年3月の7カ月間で路面店を25店開く。10年後には「#ワークマン女子」の路面店を400店舗に広げる構想を持つ。「#ワークマン女子」は作業服や作業道具を扱わないカジュアルウエアの業態で、売り上げ構成はメンズ35%、ウィメンズ65%。
出店攻勢に向けて、岡山市に床面積7.2万平方メートルの物流センターを建設し、27年10月から稼働させる。店舗網が手薄だった西日本の物流拠点にする。東日本の物流拠点である伊勢崎流通センター(群馬県伊勢崎市)が28年にはキャパオーバーに達するため、群馬県内にも床面積8.2万平方メートルの新拠点を設ける。岡山と群馬の物流センターの整備に290億円前後を投じる。
2024年新製品発表会は、東京国際フォーラムの5000平方メートルの会場に新商品800アイテムを一堂にそろえて行われた。メディア関係者約100人、インフルエンサー500人を招待した。平日は別の仕事を持つインフルエンサーが来場しやすいよう日曜日に開催した。会場内のいたるところで動画撮影を行うインフルエンサーたちの姿があった。特設ステージでは、新作の服をダンスや人工雨の派手なパフォーマンスの中で披露した。