これまで様々なアプローチで“形”へのこだわりを見せてきた「アンリアレイジ」が、11年目を迎える今シーズンは、そのテーマを“COLOR(=色)”へと大きくシフト。チームメンバーには引き続き金子繁孝・プロデューサー、加茂克也=ヘアメイクアップ・アーティストらを迎え、服はもちろん舞台装置やヘアメイクまでトリックを満載に詰め込んだ、サプライジングなショーを完成させた。
今回のショーにおけるキーカラーとも呼べるのが、肌全体にのせられたグレーだ。太陽光で変色していく洋服を際立たせるには、最も効果的なニュートラルカラーということなのだろう。グレーの肌といってもボディペイントではなく、素肌を感じさせるナチュラルさを共存させているのがポイントで、ファンデーションにカラークリームを混ぜて使用することで、透明感のある生っぽい肌の演出に成功している(使用アイテムはメイクアップフォーエバーの「HDハイディフィニションファンデーション」と、「カラークリーム フェイス&ボディクリームカラー」のシルバー)。
ヘアは今シーズンも、加茂アーティストによるお手製のヘッドピースを使ったアレンジで登場。遠目にはまるでギリシャ彫刻の頭のようにも見えるが、近くで見るとかなりアナログな力作で、すべては紙でできている。紙から切り出した小さなパーツをひとつひとつ張り合わせていくことで実現した、クラシック感すら漂うユニークなショートヘアルックだ。「顔のサイズ感はみんなそれぞれなので、(ヘッドピースを)完全にフィットさせるというアプローチは、何度やっても難しい。でも今回もうまくいったと思います」と加茂アーティスト。
今回、デザイナーの森永邦彦が探求した“フォトクロミック”(光に反応すると分子構造が変わる)の技術は、ヘッドピースにも採用。太陽光を当てたステージの上で、ヘアは白からパープルへと変色を遂げた。