三菱商事ファッションによるEC専業ブランド「ナギエ(NAGIE)」は2024年春夏シーズンからリブランディングし、アイテム全6型を2月15日に発売した。
「ナギエ」は2021年3月のスタート当初、リサイクル素材の使用や製品回収プログラムなどによって、“サステナブル”を前面に出したブランディングを行っていた。しかしブランドの裾野を広げるため、「アンデコレイテッド(UNDECORATED)」の河野貴之デザイナーをブランドディレクターとして迎え、ライフスタイルブランドへとリニューアルした。
従来はユニセックスブランドだったが、メンズのみに切り替え、ビジネスシーンやプライベートでも着用できるようにデザインを簡素化。その分、価格帯を1万5000〜3万円から8800〜2万3100円まで引き下げた。同社トータルソリューション本部の松尾美紀=事業開発部リテイル・R&Dチームは、「エシカル志向の強い方々は、価格が少々高くとも商品を購入することが多い。今後は、価格が懸念材料になっている人にも気軽に手に取ってほしい」と説明する。
ラインアップはジャケット(2万3100円)、シャツ(1万2100円)、Tシャツ(8800円)、ショートパンツ(1万2100円)、スキニーパンツ(1万4850円)、タックパンツ(1万5950円)で、それぞれブラック、ネイビー、ベージュの3色をそろえる。シャツとTシャツは受注生産だ。
オリジナル素材から生まれた
「これさえあればどこでも行ける」服
河野ディレクターが「ナギエ」とタッグを組んだ理由の一つに、三菱商事ファッションが開発するオリジナル素材「アディクテックス(ADDICTEX)がある。同素材はリサイクル率77%のポリエステルで作られているうえ、伸長回復率95%以上で型崩れしづらく、洗濯機洗いにも対応し、3.5時間で乾燥可能だ。「『アンデコレイテッド』でも素材を起点に服作りを行なってきた。『アディクテックス』に初めて触れたとき、この素晴らしい素材でプロダクトデザインを考えたいと思った」(河野ディレクター)。
河野ディレクターは、リニューアル後のアイテムを“ルーティンウエア”と呼ぶ。裏テーマは「洋服選びが苦手な人のための服」。食事や旅行など、洋服以外にお金や時間を使いたい人に向けて、「ナギエ」の服さえあれば、長期間の出張や旅行を過ごせるように設計した。速乾性や伸縮性に優れた素材によって、必要最低限のアイテムを、バッグの中に無造作にしまっておくこともできる。また、シンプルなデザインによって用途も広い。パンツは、革靴とスニーカーにも見栄え良く合わせられることを意図し、パンツの裾部分がシューズに被らないように、カーブのかかったカットを施している。