2024-25年秋冬ミラノ・ファッション・ウイークが2月21日に本格的に開幕しました。「WWDJAPAN」では編集長の村上要と記者の木村和花が現地入りし総力レポートします。3日目は新デザイナーによる「トッズ(TOD'S)」や注目の2シーズン目を迎えたサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)による「グッチ(GUCCI)」などニュース性のあるショーが続き気合いを入れて取材。ミラノに欠かせないアクセサリーブランドの展示会も周りました。
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新たな出発を迎えた「トッズ」
村上:本日朝イチの「トッズ」は、テンションが上がりましたね!会場は、ミラノ市内を縦横無尽に走る路面電車、トラムの停車場。会場では、中でもミラノ市内を大横断する「1」番線が出迎えてくれて、一人で勝手に感動しました。ちょっと早めに会場入りして、アンバサダーの榮倉奈々さんらセレブを撮影。そして、マッテオ・タンブリーニ(Matteo Tamburini)のファースト・コレクションが始まりました。
マッテオはイタリア・マルケ生まれで、テーラリングとアウターウエア、レザーウエアが得意といいます。確かに、前任のヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)は、どちらかと言えば布帛が得意で若干フェミニンなイメージがありましたが(だからこそ「ブルマリン(BLUMARINE)」への移籍は妥当だったのかも)、マッテオはよりジェンダーレス。リラックスシルエットのパンツ、トレンチ&チェスターコート、ドレープが美しいベスト、サファリジャケットまで、さまざまなアイテムをレザーで提案しています。レザーで言えば、乗馬ブーツも美しかった。アイコンのドライビングシューズ“ゴンミーニ”は、レザーフリンジで覆われました。
ジャケットは、袖にも折り目を入れて、バナナシルエットながらモードな印象に。シャツやニットは二枚仕立てで、自由なレイヤードが楽しめます。元々“高見え”するブランドでしたが、マッテオのコレクションもラグジュアリー感たっぷり。というか、さらに良い素材を使っている印象があるので、値段は少し上がるかもしれません。最近は「グッチ」含め、新クリエイティブ・ディレクターのビジョンと会社の経営方針から、新たな門出をきっかけに、ブランドをさらにワンランク上に押し上げようとする動きがありますね。クリエイションはもちろん、こうしたアプローチ自体がどう受け止められるのか?注目したいと思います。
木村:トラムの停車場は、マッテオによる新たな出発を予感させ始まる前からワクワクしましたね。ファーストルックは、レイヤード風のストライプのシャツと裾を大きく折り返したデザインが特徴のシガレットパンツ。ウエストにはイタリアのクラシックカーのバンパー部分をモチーフにした無骨なベルト。洗練度とマスキュリンが良いバランスの女性像を受け取りました。今回のキー素材となったレザーは「トッズ」の原点であり、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」でレディ・トゥ・ウエアのヘッドデザイナーを務めてきた経歴を持つマッテオの得意分野でもありますよね。柔らかなレザーのチェスターコートやサファリジャケットのほか、襟や裾だけに象徴的にレザーをあしらったものもありました。レザーフリンジの“ゴンミーニ”のほか、光沢感のあるブラッシュドレザーのタイプも素敵でした。細いメタルバンドが上品さを加えていました。
11:30 難易度高めな「スポーツマックス」
村上:「スポーツマックス(SPORTMAX)」は、不思議なコレクションでした。フォーマルを軸に、ロックやスポーツ、そしてウエスタンのムードをまじえました。例えばLOOK4は、ピークドラペルのジャケットを、レザーで作ったボクシングパンツにイン!!です。日本や韓国では「ブロケットコア」、スポーツアイテムを取り入れた“ブロークコア”と、ガーリーな“コケット”テイストのミックスが流行っていますが、一歩先を行った感じでしょうか?ボクシングパンツの装いなら、シトウレイちゃんに聞いてもいいかも(笑)。やっぱりピークドラペルのダブルのジャケットに、ハイゲージニットのコルセットを巻いて、なぜか下にはカウボーイパンツを重ねるスタイルにも驚きました。全体は、シャープでマスキュリンなジャケットにコルセットなどでウエストマークしたり、ベアトップドレスをフェザーやチュール、PVCっぽい艶感がある素材で彩ったりと“女っぷり”たっぷりですが、なぜかいきなり、スポーツ&ウエスタン。パンクやロックなどの音楽が表現してきた、反骨精神を体現しているのかもしれません。フツーじゃ終わらないよ、みたいな。
木村:ちょっと難易度高そうでしたね。インスピレーション源は、イギリスのロックバンド、スージー・アンド・ザ・バンシーズ(Siouxsie And The Banshees)やシンガーソングライターのニコ(NICO)ら1970〜80年代の女性アイコンだそうです。センシュアルなコルセットドレスには、赤いカエルのモチーフを中央に。きっとインスピレーション源のアイコン達に通ずるものなのだと想像しますが、ちょっとファニーに見えてしまい受け止め方に戸惑いました。アクセサリー感覚でつけられる細いタイは気になったかも。
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