ファッションビル「渋谷109(以下、マルキュー)」は2月下旬から、春のリニューアルを実施する。今回は新規出店9店舗を含む19店舗が改装する。中でも目玉は、1階の現M・A・C店舗跡地に作るファッションのネット専業ブランド向けに特化した期間限定店舗スペース「ブリッジ(BRIDGE)」だ。
「ブリッジ」の売り場面積は15坪(約50㎡)で、壁材と床材をオール大理石にして什器も特注した。担当者の敦賀美紀SHIBUYA109エンタテイメント店舗運営部兼リーシング部リーダーは「ファッションに特化した期間限定の売り場なので、できるだけブランドが映えるよう、ミニマルでありながら格調高くした。通常の店舗設計に比べてもかなりの設備投資を行っている。狙っているのは、製品をラックにかけただけで服が輝く売り場」という。「ブリッジ」という名称には、ネット専業のブランドとリアルの「架け橋」という意味を込めている。
「ブリッジ」で展開する第1弾のブランドは、双子のディレクター「ふみあみ」の「ジュメロ(JUMELLO)」(3月23〜31日)、第2弾が「ミエット(MIETTE)」(4月3〜4月14日)。いずれも大阪発のネット専業ブランドで、ロイヤリティーの高い顧客を抱える。敦賀リーダーとともに「ブリッジ」を担当する三角淳リーシング部ディレクターは「最も重視しているのは、ファッションの感度。なのでわれわれ担当者2人の”ピンと来た感じ”はもちろんありつつも、定性・定量での基準も設定している」という。
渋谷109のポップアップショップスペースと言えば、ユーチューバーや韓国系のアイドルなどと組んで物販を行う「ディスプ!!!(DISP!!!)」がよく知られている。わずか12坪ながら、数週間で頻繁に億を超える売り上げを叩き出す。「ブリッジ」にもこうしたノウハウを注入する。丸山康太「渋谷109」総支配人は、「『ブリッジ』は、1階の貴重なスペースで、渋谷109にとっての一丁目一番地。数字はもちろんだが、それ以上にここ数年強化してきた『ファッションのマルキュー』をより強化したい」と語る。当の丸山総支配人こそ「ディスプ!」を立ち上げたメンバーの一人。「今でこそノウハウを確立しているが、立ち上げ当初は苦しかった。苦しくとも、”ファッション感度をとことん追求する”ということだけは絶対に死守していく」。
コロナ禍収束で、インバウンドが本格的に立ち上がった渋谷109は好調に推移している。丸山総支配人によると「23年は1〜11月の売上高は前年比で25%増で推移した。24年3月期は、入観客数が過去最高だった20年3月期を上回るペースで進捗している」という。好調な店舗は、チコ(CHIKO)、「マウジー」、「スライ」。インバウンド関連では、香港や台湾で人気の「リズリサ(LIZ LISA)」が復活している。「暖冬で昨年末からやや軟調気味だが、3月のリニューアルで巻き返したい」(丸山総支配人)。