資生堂は5月16日、カナダのバイオベンチャー企業レプリセルが持つ毛髪再生医療技術について、アジア全域を対象に技術提携することで同社と基本合意した。資生堂は、契約金として4億円を支払う。
今回導入する毛髪再生医療技術は、レプリセルが10年以上におよび、基礎研究や臨床研究を重ねてきたもので、安全性が保証された最先端の毛髪再生の特許技術だ。手法は、まず毛髪の成長に重要な役割を果たし、毛乳頭細胞の元になると考えられている細胞をヒトの頭皮から採取。次に、その細胞を培養した後、脱毛部位に移植。すると脱毛部位の損傷した毛包を再活性化させ、脱毛部位の健康な毛髪の成長を促すというもの。利点としては、切除範囲が狭く身体的負担が小さいこと、患者自身の細胞を使うことで拒絶反応などのリアクションのリスクが小さいこと、育毛剤と比べ、一度の施術で効果の持続が期待できること、経口治療薬と異なり、男女問わず応用が期待できることなどが挙げられる。
レプリセルは、毛髪および腱の再生医療研究に従事するベンチャー企業で、研究開発した成果を事業会社にライセンスで提供することを目的としている。レプリセル自身は研究に特化し、現在、当該領域で事業運営はしていない。資生堂は今後、レプリセルの毛髪再生医療技術と同社の技術を組み合わせ、脱毛症や薄毛といった悩みに対し、美容と医療を融合したソリューションを提供していく。5年をめどに事業化を目指すという。