ベイクルーズは27日、東京・虎ノ門ヒルズ内に29日オープンする新業態「セレクト バイ ベイクルーズ(SELECT BY BAYCREW’S)」を関係者に公開した。セレクトショップ本来の目利きを前面に出し、社内外のキュレーターの審美眼によって幅広い商品を集めた大型店になる。売り場面積は2800平方メートル。同社のクリエイションを国内外に発信する戦略店舗と位置づける。
ファッションから食、アート、スポーツまで
昨年10月に開業した複合ビル、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの2階と3階の2フロアで営業する。同社の既存のブランド・業態は「ミューズ ドゥドゥーズィエム クラス(MUSE DE DEUXEME CLASSE)」など一部に限られ、大部分はここだけの編集を組む。
中心的役割を担うのはキュレーターと呼ばれる社内外のスペシャリストたちだ。社内から「ドゥーズィエム」の佐藤恵氏、「ジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)」の松尾忠尚氏と高田麻紀氏、「シティショップ(CITYSHOP)」の片山久美子氏、「ノア(NOAH)」の中根吉浩氏、「エディフィス(EDIFICE)」の紺野浩靖氏、メンズセレクションの統括責任者の栗原潤氏、社外からファッションディレクターの長尾悦美氏らが担当する。
メーンフロアの3階は、エスカレーターホールを囲むようなコの字型の区画。コンシェルジュが待機するレセプションのカウンターがあり、来店客の案内役を務める。ビンテージ品を含めたアパレルや雑貨をそろえた「セレクト-A」「セレクト-B」が広い売り場を構えるほか、長尾氏が原宿の古着店「ベルベルジン(BERBERJIN)」の藤原裕氏をディレクターに迎えたウィメンズのデニムショップ「ザニーム(THENIME)」には数十万円の希少なジーンズが並ぶ。また同社初のユニセックススニーカーストア「ヘリンボーン(HERRINGBONE)」は、ミタスニーカーズの国井栄之氏をディレクターに迎えた。同じく同社初のアートギャラリー「アートクルーズギャラリー」、名古屋発の自転車店「サークルズ トーキョー」など見どころが多い。
2階には朝8時から営業するブーランジェリー&カフェ「リチュエル(RITUEL)」、ホットドッグとユニークな土産物を置く「ザ スタンド」、パートナーシップを結ぶセレクトショップ「ヌビアン(NUBIAN)」の服飾雑貨を中心にした店舗が軒を連ねる。
2階の奥には「ミューズ ドゥドゥーズィエム クラス」の最大店舗がある。玄関、ウォークインクローゼット、リビング、キッチン、ベッドルームなど家に見立てた売り場構成で、自宅を訪ねた客をもてなすような雰囲気で接客する。
ビジネス街の虎ノ門に出店した理由
ベイクルーズの古峯正佳副社長は、虎ノ門ヒルズでの新業態出店を「街づくりへの挑戦」だと説明する。「杉村茂CEOをはじめ、当社にはずっと前からベイクルーズで街づくりをしたいという目標があった。(商業地ではない)虎ノ門はまだ色のない街だからこそ、当社が寄与できることが多い」。
出店するにあたり、目的地としてわざわざ訪れるに値する店舗にしようと考えた。それがキュレーターを前面に立てた売り場作りだ。「当社はブランドや業態の名前を立てたビジネスを全国で展開してきたが、『セレクト』ではそれを一旦壊して、当社が誇る第一線のバイヤーたちの力を結集した店を作ることにした」という。
本来のセレクトショップの姿へ原点回帰するだけでなく、スケール感や空間演出も追求し、体験価値を高めるものにした。服だけでなく、ベイクルーズが得意とするフード、新領域であるアート、スポーツ、ビンテージにも力を入れ、長く滞在できる店にする。
虎ノ門で働くビジネスパーソンや港区在住の近隣住民はもちろん、全国からファッションに関心の高い層を集客する。虎ノ門ヒルズ周辺には高級ホテルも多く、海外からの観光客や出張客も少なくない。「セレクト」は海外に向けたショーケースの機能も意識する。「昔、僕たちがパリに行ったら必ずコレットを訪れたように、ファッションに関心の高い海外の人が東京に来たら必ず寄る場所にしたい」と話す。
アルバイトと含めて約80人のスタッフで運営する。上質な商品とサービスを知る客の期待に応えるため、全国からエース級の販売員を集めた。