「エルメス(HERMES)」は、国内36店舗目となる「エルメス麻布台ヒルズ店」を2月29日にオープンした。開業当日のオープニングセレモニーでは、フロリアン・クラエン(Florian Craen)=エルメス・インターナショナル エグゼクティブ・バイスプレジデントや、有賀昌男エルメスジャポン社長らによるテープカットと、りんごの木の植樹式を行った。
入店は、3月3日までは抽選による事前予約制。オープンを記念して、同店が面する中央広場の麻布台ヒルズアリーナにオランジェリー(温室)も同日まで設置し、ゲストにオレンジジュースを配布しているほか、フランスの「カンパニー・デ・キダム」によるパフォーマンスも1日に2回(14時〜、17時半)開催している。
メゾンのスピリットと日本の美
自然が調和した空間
同店は2フロア構成で、店舗面積は476平方メートル、テラスは56平方メートルだ。デザインは、同ブランドの世界中の店舗を手掛けてきたパリの建築設計事務所RDAI(レナ・デュマ・アルシテクチュール・アンテリユール)が担当した。
日本から着想を得たデザインや手仕事を随所に反映し、ファサードは2枚のガラスの間に和紙を挟み、透明から乳白色へと美しくグラデーションする半透明のガラスで全面を覆った。和紙の後ろには、箔の技法に着想を得た発光パネルを採用。日中の開放的な雰囲気から一転し、夜は灯篭のような温かい光が建物全体を包む。
店内は、西陣織の壁紙や竹をイメージした寄木細工など、日本特有の素材を生かした「エルメス」らしい上質な空間が広がる。フロアには、パリのフォーブル・サントノーレ第1号店同様、メゾンを象徴するモザイクとエクスリブリスのモチーフをあしらった。
1階はプレタポルテから
レザーグッズ、馬具までを展開
エントランスは2つ設けており、片方はメンズに、もう片方はウィメンズのスペースへと導く。メンズ側のスペースにはホームコレクションも並び、ウィメンズ側にはシルクスカーフやフレグランス、ファッションアクセサリーのコレクションもそろえる。中央のオープンスペースには、レザーグッズやジュエリー、時計、さらには馬具が並ぶ。
プライベートサロンと
秘密の屋上庭園からなる2階
2階のプライベートサロンでは、オーダーメイド部門「アトリエ・オリゾン」のDJブースやホームコレクションを設置し、さらにメンズシャツなどのオーダーサービスも提供する。プライベートサロンの扉の先には、パリのフォーブル・サントノーレ第1号店の秘密の屋上庭園を思わせる、緑豊かなテラスが広がる。
アートと一体化しているのも同店の特徴だ。店内にはエミール・エルメス・コレクションから厳選したスケッチや絵画をはじめ、フランス人アーティストのヨッヘン・ゲルネール(Jochen Gerner)によるイラストや、アメリカ人アーティストのテリー・ ワイフェンバック(Terri Weifenbach)の写真など、古典的な作品からコンテンポラリーなものまで幅広い作品を展示する。
2階のテラスには、銀座メゾンエルメスで昨年開催した「エマイユと身体」展に参加していたフランス人アーティスト、シルヴィ・オーヴレ(Sylvie Auvray)のセラミック作品「プティット・ビュル」(2022年)を展示。今後は異なるアーティストの作品を約1年ごとに紹介する予定だという。オープンを記念して、ウインドーディスプレーには、日本の建築事務所o+hの大西麻貴と百田有希による、「エルメス」のシルク、ネクタイ、レザーを用いた作品を披露している。
メゾンの精神を継ぐ
“りんごの木”と共に
さらに、「エルメス」のスピリットを麻布台ヒルズの地に受け継ぐため、エントランス脇の小さな庭に、りんごの木を植樹した。りんごの木はフォーブル店の屋上庭園で1940年代から受け継いできたメゾンの象徴の一つで、ゲストや街と共に成長していきたいという願いを込めている。
■エルメス麻布台ヒルズ店
時間:11:00~19:00
定休日:月曜日(祝日の場合は営業)
住所:東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザC 1F
※3月3日までは抽選による事前予約制。詳細はウェブサイトを参照