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米百貨店メイシーズ、2026年までに150店を閉鎖 業績低迷が続く

米百貨店大手のメイシーズ(MACY'S)は2月27日、国内におよそ500あるメイシーズ事業の店舗のうち、約150の不採算店を2026年までに閉鎖することを発表した。そのうち約50店は24年度中に閉鎖する。どの程度の人員削減を行うのかについては、現時点では明らかにしていない。

これは“大胆な新章”と名付けられた構造改革計画の一環で、“ゴーフォワード(前進させる)”と位置付けた350店への優先的な投資、サプライチェーンやフルフィルメントの合理化、在庫率や商品アロケーションの改善なども含まれている。また、高級百貨店ブルーミングデールズ(BLOOMINGDALE'S)事業のうち、ラグジュアリーおよびコンテンポラリーブランドにフォーカスした小型店ブルーミーズ(BLOOMIE'S)を今後3年間で約15店、ビューティおよびスパサービスに特化したブルーマキュリー(BLUEMERCURY)を同じく30店以上出店するという。

近年はECの台頭によって消費者動向が変化し、実店舗を主力とするメイシーズは売り上げが低下。また、以前から不採算店が多いなど経営効率の悪さをアナリストら専門家に指摘されていたほか、ノードストローム(NORDSTROM)などの競合する百貨店やスーパーマーケットチェーンのターゲット(TARGET)にも客足を奪われ苦戦していた。20年2月には3年間で125店を閉鎖し、およそ2000人の人員削減を行うことを発表。ニューヨークとオハイオ州シンシナティに置いていた本社をニューヨークに統合し、サンフランシスコにあったIT関連部門の拠点もニューヨークに移転している。

しかし、業績は思うように改善せず、23年12月には米投資会社アークハウス・マネジメント(ARKHOUSE MANAGEMENT)とブリゲード・キャピタル・マネジメント(BRIGADE CAPITAL MANAGEMENT)から58億ドル(約8700億円)の買収案を提示されたが、自力で再建を目指すとしてこれを拒否。24年1月には、管理部門を中心に、従業員の3.5%にあたるおよそ2300人の解雇を発表した。

ジェフ・ジェネット(Jeff Gennette)=メイシーズ前会長兼最高経営責任者(CEO)の後任として、2月に就任したばかりのトニー・スプリング(Tony Spring)新CEOは、「今回の決定は、“大胆な新章”の幕開けを示すものだ。ポジショニングを根本から変えて成長を促し、よりよいカスタマーエクスペリエンスを提供し、メイシーズの価値を高めたい」と語った。

同社の24年1月期決算は、売上高が前期比5.5%減の230億9200万ドル(約3兆4638億円)で、営業利益は同77.9%減の3億8200万ドル(約573億円)、純利益は91.1%減の1億500万ドル(約157億円)だった。なお、これには今後3年間でクローズする150店に関連する費用9億5000万ドル(約1425億円)などを含む10億ドル(約1500億円)の減損費用が含まれており、調整後純利益は同22.7%減の9億7300万ドル(約1459億円)だった。

米国の景気は23年下半期にかけて持ち直し、年末のホリデー商戦も当初の予想より好調だったが、メイシーズの既存店売上高は直営店が同6.9%減、フランチャイズ店を含めても同6.0%減と不調だった。

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