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連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第96回

退店時は、絶対「現状復帰」しなくちゃダメですか?

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先日、「シロ(SHIRO)」がルミネ池袋の地下1階にある店舗を増床リニューアルオープンしました。この店舗はただ新たに作り変えるのではなく、産業廃棄物を資源化して、素材として什器のリメイクなどに活用。建築余剰の杉材はカウンターに、検品時に弾かれた販売用のタイルを壁面に再活用しています。床は、退店したテナントが床材を剥がした状態をそのまま活用。塗装を施すなどして、見た目をある程度整えました。

余剰フレグランスを調合して限定品として販売するなど、自分たちらしいサステナブルを実践する「シロ」らしい発想です。

ファッション業界では、セレクトショップの「イザ(IZA)」が昨年移転オープンした店舗も同様のアイデアに基づいています。「イザ」も新たな何かをゼロから生み出して用いるのではなく、建物の枠組み、以前のテナント(ユナイテッドアローズ)による設備の一部を有効活用。とはいえ「イザ」にとっては自身のアイデンティティを醸し出すことが必要ですし、一方ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)にとっては面影を消す、ないしは変更して分からなくしてもらう必要がありますから、両社はコミュニケーションを重ね、例えば木材の質感を活かしていた壁面は真っ白に塗装したり、階段の手すりはハンマーで凹凸をつけて新たな表情に変換したりすることで、その印象を新たなものにしています。これぞ、ファッション業界らしいクリエイティビティなのかもしれません。

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