ファッション
連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第97回

「中価格帯」は、15年で倍以上に

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「平成」さえ遠くになりにけりーー。そんなフレーズが思い浮かびます。日本で最大級(トップは、吉田カバンでしょう)の規模を誇るバッグメーカー、クイーポに聞いた、百貨店のバッグ売り場の話です。

「WWDJAPAN」に携わるようになった初年度だったでしょうか?「バッグ担当」を拝命して以来、クイーポには仲良くしていただいています。「バッグ担当」と言っても、当時は編集部の所属ではありませんでした。私の所属は、編集制作部。簡単に言えばタイアップ班です。タイアップ班に属する「バッグ担当」の仕事は、「WWDJAPAN」に出稿してくださるバックメーカーのタイアップ記事を担当すること。そして、半年に一度の広告企画「バッグ別冊」を広告部員と二人三脚で企画・営業、そして制作すること。つまり当時は半年に一度別冊が発行できるほど、国内のバッグメーカーによるタイアップは多かったし、バッグ売り場は活況だったんです。広告企画の「バッグ別冊」とは言え、例えばバッグ売り場をリニューアルした百貨店のバイヤーには新たな売り場と出退店ブランドについて話を聞いたり、全国各地の百貨店には売れ筋をアンケート調査したり、今のビジネスリポートに近い取材をしていました。振り返ればその時、「WWDJAPAN」記者としての基本的なノウハウは身についたように思います。

あの時、百貨店のバッグ売り場、いわゆる「平場」の中心価格帯は3万〜4万円くらいでした。ラグジュアリーブランドのバッグが20万円くらいで、「コーチ(COACH)」や「ロンシャン(LONGCHAMP)」「フルラ(FURLA)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」などのバッグが5万〜7万円くらい。国内のバッグメーカーによる3万〜4万円台の商材は、中心価格帯であり中価格帯と呼ばれていました。クイーポの岡田孔明常務によると今、この市場でのバッグの中価格帯は「『コーチ』以上、ラグジュアリー未満」。価格で言うと、8万〜12万円くらいと言います。マクロでは二極化、ミクロでは「平場」の縮小とプレイヤーの減少で、大きく様変わりしたのです。やはり「平成」さえ、遠くになりにけりです。

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